男湯からのそろそろ上がるよコールを聞いて、私たちも上がることにした。
とてもよく温まっている。
凍てつく雪道に出ると、自分からほわほわと湯気が立ち上りそうだ。
パパとがっちゃんとyuko_nekoさんの三人は真っ直ぐ宿に戻るというので、私は一人、さっきちらっとのぞいただけの
竹の湯に寄って帰ることにした。
がっちゃんがオレンジ色のバーとピンクのプラスチックのタグのついた
共同浴場の鍵を渡してくれた。
バーには「湯宿共同湯維持会」と、タグには「
みやま荘」と書かれていた。
細い脇道沿いにある松の湯と違って、さっきのぞいた竹の湯は、まさに石畳の道沿いの目立つところにあるので、方向音痴の私でも迷うことはない。
松の湯を諦めて竹の湯に行ったと思われたえんぴつさんたちの姿もなく、竹の湯はシンと静まり返っていた。松の湯の賑わいとは対照的だ。
男湯と女湯の戸の間に、可愛らしい赤いポストがある。
このミニチュアのポストは郵便物を入れるためのものではない。詠んだ俳句を入れるためのもののようだ。
中は松の湯と異なり、ちゃんと脱衣所と浴室が別れている。
誰もいないので真っ暗で、電気のスイッチを探してしばし逡巡した。
お湯はこちらはすっきりと熱く、熱い分、とろみとか肌触りを楽しむ余裕は無い。そのかわり何故か甘い臭いはこちらの方が強く感じる。
浴槽はほぼ正方形。床は松の湯同様タイル張りだが、浴槽と壁は石でできている。全体的に松の湯より新しく綺麗な感じだ。
湯の花は見つからない。完全な無色透明。
男湯の方は誰か入浴しているらしく、ざざーっとお湯を流す音が聞こえるが、女湯は独占貸切状態。
ふぅ~。
温泉に入るのは年末の
さやの湯処以来、旅行に来たのは11月の
四万たむら花湧館以来だから3ヶ月ぶりか・・・。
家のお風呂は疲れたときは入るのも面倒くさくなっちゃうけど、やっぱり温泉はいい。それも旅先の温泉は。
久しぶりの温泉が湯宿の共同浴場で幸せだ。
帰りがけにもう一度松の湯に寄って、もし誰もいなかったら浴室の写真だけ撮らせてもらおうと思った。
でも、やっぱり松の湯は大盛況で、ドアを開けるまでもなく外まで賑やかな話し声が聞こえてくる。
まもなく9時・・・地元の人たちだけの時間になる。