湯宿に着いたのは夜の7時過ぎ。
もうあたりは真っ暗だ。
国道17号線を走っていると大きな赤い橋の下を潜る。
すると右側に斜めに入る細い道があり、湯本館の矢印が見えた。
湯宿温泉と言えば湯本館と金田屋ぐらいしか名前を知らない。とにかく曲がってみよう。
暗いのでよく判らないが、どうやらこの道の両側に民家に混じって温泉宿が点在しているらしい。
みよしや、みよしや、みよしや・・・。
なかなか見つからない。すぐに判るかと思ったんだけど、おかしいなぁ。
細い道は行き止まりになった。正面が湯本館。
駄目だ、湯本館に入っちゃいけない。
仕方なく左折する。左折した道はすぐに17号に出てしまう。
yuko_nekoさんに泣きつくことにした。
電話を掛ける。
「
湯宿に着いたところなんだけど、みよしやってどの辺?、今ね、斜めの細い道を湯本館前まで来て、直角に左折したところ。また17号に出るけど・・・」
yuko_nekoさんだけでなく、やっぱり後ろでがやがや聞こえる。
「えーとね」
雑音が多くて聞き取り難いし、向こうも私の電話の受信状態がよくないらしく途切れ途切れになっているようだ。
とにかくやりとりの結果、さっきの細い道に入るところまでは合っていることが判った。
「義満さんに代わるね」
電話がyuko_nekoさんから義満さんに代わった。義満さんも草津や四万のオフで何度もお会いしているよく知っている方だ。
「石畳の道を入って、右手に駐車場があるよ」
まず石畳の道と言われても暗いのでどこのことだか判らなかったが、話の流れからして斜めに入った細い道のことだろう。
右というのはどっち向きに走った場合だろう。
「登って行くなら左手だ」
えーと、斜めに入った場合は登りになるから左か。
・・・みよしや、みよしや・・・。
「あー、もう湯本館に着いちゃうよ。それじゃ行きすぎですよね?」
「行きすぎ行きすぎ」
「でもみよしやなんて無いですよ。今、ちょうど左手に
みやま荘の駐車場って書いてあるあたりにいます」
「何言ってるの、だからそれだよ」
へ!?
「だ、だって、『みやま荘』じゃなくて『みよしや』だって・・・」