会津東山温泉は会津若松の奥座敷で、阿賀川の支流である湯川の渓流沿いに20軒ほどの旅館が点在する。
滝、または瀧と名に付く旅館が多いが、それらは湯川のところどころにある滝を望む立地であるところが多い。
今から1,200~1,300年ほど前に高僧 行基によって発見されたと言われ、その際行基を案内したのが日本神話に現れる八咫烏とされている。
温泉街は最奥に離れて東山グランドホテルがある他は、何とか歩いて回れないことも無い範囲に収まっている。
時間がまだ2時前だったので、先ほどの湯めぐりパスポートのリストの中から2時から受け付けてくれる宿をピックアップした。
このうち
大川荘と
丸峰観光ホテルは芦ノ牧温泉だから除外。
御宿東鳳と
原瀧の2軒が該当する。残りは3時から受付だ。
庄助の宿瀧の湯から見て、東鳳は近く、原瀧はかなり遠くリストの中では一番奥まったところに位置する。
一番奥まで歩いてちょうど2時ぐらいだから、まずは原瀧に行くことにしよう。
原瀧の後、東鳳まで戻ってしまうか、あるいはどこかで時間をつぶすかは行ってから考えることにする。
温泉街の奥へ向かう道は、左手が山の斜面、右手が渓流で、渓流と道との間に旅館が並んでいる。
道の両側に温泉宿が並んでいるわけでは無く、道からの見晴らしも悪いので、瀧の湯の周辺はあまり温泉街らしくない。
しばらく滝の湯の外塀に沿って歩いていると、クラシカルな塗装のバスが私たちを追い抜いて行った。まちなか周遊バスと書かれている。
泊まる瀧の湯、少し古びた東山ハイマートホテルと過ぎてその先には会津バス東山温泉駅と書かれた黒い板張りの建物が見えた。東山温泉に鉄道なんて通っていたっけ?と訝る私にパパが今のバスの停留所だろうと言った。
このバスの東山温泉駅は観光案内所も兼ねているようだ。
さらに歩くと対岸にとても由緒ありげな、古い木造建築が見えた。ほら、
四万温泉の積善館みたいな千と千尋の神隠しに出てきそうなタイプの。
ああいう建物、好きなんだよなぁ。泊まってみたい。
そう思ったそこは老舗の向瀧だった。
残念ながら向瀧は湯めぐりパスポートには入っていない。
向瀧が見えたあたりで歩いてきた道は二手に分かれる。左がメインストリートのようだが、川に沿って右に進んでみる。