1.雨は雪へと変わり・・・
初日 2008年2月9日(土)
お金は無くても旅が好き。
節約したり工夫したりしながら毎月のようにどこかしら旅に出ていた私たち一家。
ところが楽しみにしていた年末年始。
例年のように新潟県の松之山温泉近くにある貸民家で過ごす予定だったのだが、あいにくとパパが体調を崩し、あえなく旅行予定は消えてしまった。
といっても、年末年始は貴重な休暇で、去年後半から土曜日も仕事のあるパパは、もうなかなか次の連続休暇が取れない。
2月の三連休だって土曜日は出勤・・・。
いや、それでも行くのだ。
友人達が待っている。
夕方仕事を終えたパパは家族を乗せて、黄昏の関越道を北上する。
東京ではぽつりぽつりとフロントガラスに雨粒が当たっていたが、埼玉に入る頃にはそれは白い雪に変わっていた。
「ただ今、自宅を出て湯宿に向かいます」
到着が遅れることは幹事のえんぴつさんに伝えてあったが、一応出発したときにメールを送ることにした。
宛先はえんぴつさんと、友人のyuko_nekoさんの携帯。
えーと・・・
そこまで書いてふと思った。
そういえば泊まる宿はどこだっけ?
湯宿温泉だってことは知っている。でも宿名を忘れちゃった。
「・・・あれ? なんて名前の宿だっけ?」と続けた。
即座にyuko_nekoさんから返信が来た。
「みよしやですよ~」
おお、サンキュ。というか、宿名確認しないで出発するのは私ぐらいか。
おまけにyuko_nekoさんからはその後すぐに
湯宿温泉の共同浴場の画像が添付ファイルで届いた。
もう一風呂浴びてるのね。
くーっ、羨ましがらせようと思って~。
まもなく花園IC。
空はますます暗くなってきた。
ヘッドライトに照らされたところだけ、フロントガラスにぶつかってくる雪が光っている。
車酔いをするレナが寝付いて、つまらなくなったのか姉のカナも寝てしまった。
湯宿温泉に到着する前にどこかで夕食をとろうと思っていたが、これはレストランではなくコンビニか何かを探した方が良さそうだ。
寝起きで機嫌の悪い子どもたちを連れて、店に入るのはやめにしたい。車の中で食べさせちゃった方がいいかもしれない。
再び車の中からyuko_nekoさんにメールを送った。
「月夜野から湯宿への道すがら、店あった?」
すぐに折り返し電話が掛かってきた。
「食事処は月夜野ICより沼田ICの方がいろいろあるよ。どっちから来ても時間は同じくらい。コンビニなら両方にあった」
電話の後ろでがやがや言う声が聞こえる。
もうみんな集まって飲み始めているのかもしれない。
「何故か納豆ならいっぱいあるよ。小枝パパが持ってきてくれたの。蕎麦もあるよ」
小枝子パパは四万温泉の蕎麦屋の主だ。
「ありがと~う」