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◇◆四万たむらの休日2◆◇

10.四万グランドホテルのお風呂






 小枝子パパとはまた後で会えるからと店を後にした三人組。
 yuko_nekoさんは真っ直ぐ四万たむらに戻ってしまったが、どうせ坂を下りているんだからと私たちが次に向かった先は四万グランドホテル
 前述したとおり四万たむら、四万たむら花湧館、四万グランドホテルはそれぞれどこに泊まっても全てのお風呂に自由に入ることができる。
 四万グランドホテルには、二ヶ所の浴室があって、地階にある方は大浴場の岩舟の湯と露天風呂の室生の湯、最上階にあるのは展望風呂メルヘンの湯だ。
 私は一昨年、岩舟の湯と室生の湯には朝風呂で入った。
 メルヘンの湯は未湯だ。





 四万グランドホテルも四万たむらに劣らずきらびやかだが、こちらは雰囲気がまるで違う。
 四万たむらが個人客を対象とした和風情緒溢れる高級感があるのに対し、四万グランドホテルはいかにも団体観光客向けだ。
 ところで私たちはグランドホテルに行くつもりで花湧館を出たわけではなかったので浴衣を着ていなかった。
 浴衣無しで四万たむら系列宿泊者と見なされるだろうか。
 「大丈夫、このベ○ジョサンダルがあるよ」
 実は私は一昨年も浴衣ではなくこのサンダル一つで身の証をたててグランドホテルの風呂に入ったのだ。
 くららさんは自前のブーツだが、サンダルを履いている私とえんぴつさんと一緒なら疑われることはないだろう。
 うーん、かっこわるいとか、いまいちだとか言いながらも、このサンダルを履いてきた甲斐があるというものだ。
 事実、四万グランドホテルの玄関から堂々と入る私たちの足下を品の良い仲居さんたちはチラチラと確認していた。

 仲居さんの一人がお風呂の説明をしてくれて、蒸し風呂などのある大浴場に行かれるのでしたらあちらの階段をと教えてくれた。
 私は前回、階段のことを知らず、別の方向にあるエレベーターを使ってお風呂に行こうとしたらえらい遠回りだった。帰りに初めて階段の存在に気づき、そこから戻ってきたらあっけないほどロビーは近かった。
 とにかく教えてもらった右手の階段を降りると、そこで靴を脱ぐようになっている。
 四万たむらや花湧館など、旅館形式の宿ではまず玄関で靴を脱ぐのに対し、グランドホテルは一応ホテルなので館内は基本的に土足なのだ。
 靴を脱いで進むと、その先にマッサージコーナーがあって、それから男女別に別れている。

 脱衣所でもたもたしているとまたまた私は一番ビリになっていた。
 浴室のドアはボタンを押すと開く自動ドアになっているが、反応が鈍い上にどうやって閉めるのかよく判らない。ついもう一回ボタンを押してみる。当然反応無し。仕方なく力づくで閉めてしまった。
 実はこれは一定時間が経過すると自動で閉まるのだった。でもきっと私と同じ過ちを犯す人が多いような気がする。





 広い浴室は湯気が充満して薄ぼんやりと見える。
 ようやくくららさんやえんぴつさんを見つけて、一緒に露天風呂に出てみた。
 この露天風呂、展望が悪い。
 地階にあるので無理ないのだが、塀と屋根の間にちらちらと庭木が見える程度。
 見える木の枝は秋の色。
 くららさんやえんぴつさんに、男湯の方が眺めが良さそうだと言われて、隣の少し高い場所にあるのが男湯なのだと思い当たった。

 室生の湯は気持ちぬるいくらいだった。
 臭いなどは特に感じられず、良い肌触り。
 力を抜いてくつろげるようなお湯だ。
 四万のお湯はどこもよく温まる。しばらく入っていると外の寒さを忘れるほどだった。

 室生の湯の四角い浴槽の隣に、直接お湯がそそぎ込まれる樽風呂が二つある。
 上がり掛けにえんぴつさんがそこに入ってみた。
 「どう?」
 「狭い分、何だか損したような気がする」
 あはは。

 浴室を出て、靴を履き、目の前のエレベーターに乗ろうとした私たち。
 ちょっと待て。
 階段の方を上がる。振り返るとロビーからエレベーターは見えない。
(ちなみに本当はこのエレベーターはロビーにもちゃんと停まるそうです。階段の裏に停まるので見えにくいそうで。この話は後から小枝子パパに教えていただきました)

 もう外は暗くなっていた。
 グランドホテルを出て振り返ると三台も大型観光バスが停まっていた。目の前からは四台目が入ってくる。
 「やっぱりグランドホテルは団体向けなんだね」と私たち。
 団体観光客による温泉旅行は減るばかり。
 そもそも今の人たちは団体行動嫌いだもの。この先益々減ると思う。
 金持ちも庶民もこれからは家族単位が主流になるだろう。
 何年か先、ずっと大型観光バスが連なってやってくるか少し心配になってきた。








1-11謎の全国温泉友の会へ続く


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