案内された部屋は廊下の一番奥だった。
廊下は片隅にモダン和風な洒落た飾り付けがしてあるかと思えば、意図したわけでもなくレトロな温度計があったり、床に敷かれた赤い絨毯などはぼろぼろで、妙に統一感がない。
部屋に入ってみると、入り口を見て予想したよりずっと広くて快適そうな感じで嬉しかった。
茶器と温泉饅頭とタオルと浴衣が用意されていた。
このときは気が付かなかったが、浴衣には子供用のものもちゃんとサイズを合わせて置かれていた。
滑川温泉の湯治部屋などと違って、テレビも暖房も新しいものが入っている。これなら真冬に来ても寒くない。
一番驚いたのは奥に小部屋がついていたことだった。
早速子供たちは、そこが自分たちの部屋だと宣言した。
どうもこの小部屋は布団部屋の奥のスペースを利用したものらしく、一番奥の部屋のみに付属しているらしい。
さらに景色がよいのにも驚かされた。
この
雲海閣というのは斜面に立てられていて、部屋からはちょうど湯本の町中を見下ろすようになっている。
特に奥の部屋はちょうど張り出した紅葉の枝が真正面にあり、高級旅館の特別室でもこうはいかないかと思うような眺めだ。
「もうちょっとこの紅葉が赤くなっていれば完璧だったのに」とパパ。