◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記
奈良の長谷寺ことまたの名を大和國長谷寺というのは、真言宗豊山派の総本山であり西国三十三所の観音霊場第八番札所である寺院で、全国に数多分布する長谷寺の頂点に立つ長谷信仰の中心をなしている。
寺の縁起は飛鳥時代までさかのぼり、道明上人が天武天皇のために「銅版法華説相図」を初瀬山に安置したことにはじまり、その後奈良時代になって徳道承認が聖武天皇の勅願で十一面観音を祀ったとされている。
本堂を昇ってきた登廊とは逆の方に出て進んだところに五重塔は建っているのだが、その手前に本長谷寺と札の立てられた小さめのお堂がある。
ここが前述の道明上人が「銅版法華説相図」を祀った精舎跡地とされる場所で、さらにその先の五重塔はもともと三重塔だったものを昭和29年に再建したものだそうだ。
五重塔の周囲も桜に囲まれていて、真下から見上げると、塔の朱、空の青、桜の薄紅色がよく映える。日本って綺麗だなぁとしみじみと思う景色だ。
五重塔の道は納骨堂の横を通って続いていたが工事中で進めず、石段を下りて本願院と金蓮院の間に出た。この辺りもずっと桜が植わっている。
振り返るとひときわ高い位置に本堂と舞台が見えて、先ほどまでの荘厳な時間を思い出した。
長谷寺というのは奈良の観光名所の中でも人気のある寺院のひとつであるし、ガイドブックの写真で見ても随分と観光客が多い。
今はまさに桜が満開の季節で、勤行の見学のことを知らなければ大勢の観光客と一緒に9時半頃に詣でていたと思う。
こうしてほとんど人のいない静謐な長谷寺を堪能できたことは本当に有り難いことだった。
帰り道に撮った写真いろいろ。五重塔の方からズームした本堂や、石段を下りて振り返った仁王門。