◆◇長崎旅行記◇◆
小浜温泉湯祭りとハウステンボス
その店はただの売店ではなく被爆者の店という名だった。
カステラ、ビードロ、ご当地キティグッズなどなど、長崎らしい土産物が並ぶ。
奥には中華風の飾りつけをした喫茶室もある。
広い店の中は他に雨宿りをしている人もほとんどおらず、雨音も聞こえないほど静まり返っていた。
ここで少し土産に小さなガラス細工など購入して、入り口の方を振り返ると空が明るくなり始めていた。
黒い雲がどんどん流されていく。
雨も小ぶりになり、すぐに止んだ。ほんの数分のことだった。
私たちは外に出て、今度こそ平和祈念像の前まで歩いた。
天を差す右手は原爆の脅威を
水平にのばされた左手は地上の平和を
横にした右足は原爆投下後の静寂を
立てた左足は救った命をあらわし、
閉じた目は犠牲者の冥福を祈っていると言われる。
今もまだ脅威は去らない。
綱渡りのような平和の尊さを自覚しなくては。
平和祈念公園の帰り道は、ちょうど売店のある方向とは反対側の裏道のような出口から降りた。
次に行く浦上天主堂へはこの道が近いのだ。
細い下り道には、悪天候の中でも落ち葉を清掃するおじさんたちの姿があった。