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◇◆がんばれ新潟◆◇
四万温泉と雪国古民家の旅

17.ラストは河原の湯











 時々車に追い越されながら坂道をどんどん下って、年季の入った建物の佐々木商店のところで落合橋を渡る。
 カーブしながら坂道を降りると、すぐにスマートボールなどのレトロな店が並ぶ落合通り。
 中島屋の前を通ると、ちょうどさっき店内で接客などしてくれたお兄さんが暖簾を外すところだった。
 「店じまいですか?」
 「ちょうど今入っているお客さんで今日の蕎麦が終わりそうなんで」
 「上の湯御夢想の湯に入ってきました。あとは河原の湯に入ってたむらに帰ろうかと」
 お兄さんはちょっと呆れたみたいだった。
 「そんなに入ると疲れませんか?」
 た、確かに・・・。
 でも楽しいから疲れないよ。あとね、自宅のそばには四万温泉は無いからさぁ。せっかく来たら限られた時間にいろいろ入りたいの。

 ふと携帯を見ると、パパからメールが届いていた。
 『もうチェックイン済み。今どこ?』
 そこで、『今最後のお風呂に向かってる』と返信する。

 最後のお風呂は河原の湯だ。
 もう落合通りを出たら目の前だ。
 時間は既に2時38分。
 観光客が入浴できる時間は3時までだから急がなくちゃ。
 中島屋を出て上の湯に向かったのが12時半ごろだったのだから、湯めぐりに出てもう2時間以上が過ぎていることになる。
 自分にはそんなに時間が過ぎた感覚はまるで無かった。


落合橋のあたりから見下ろす



よくレトロと称される落合通り



スマートボールとか



今日はもう店じまい



暖簾もおろしちゃいますよ~。


 上の湯と御夢想の湯が貸し切り状態だったのに対し、河原の湯はずいぶん混んでいた。
 場所が四万温泉の中でも中心の新湯にあり、河原に単独で建っているので目立ち、さらには一般客の入浴時間が終わるぎりぎりだったのもその理由かもしれない。
 重い戸を開けるといきなり脱衣所だが、そこに地元の方とおぼしき女性が二人、さらに湯気のこもった浴室に二人、私が入るとさらに観光客の女性が二人入ってきた。
 河原の湯はいつ行ってもまるでミストサウナのように薄暗く煙っている。
 石の浴槽の一番奥に湯口があり、白い析出物ががっちりと固まっている。
 先に入っていた女性はもくもくと髪を洗っている。
 もう一人は湯船の中で縁に腕をかけたまま石になったように動かない。
 その方の邪魔にならないよう反対側から湯船に入ってみた。
 お湯の流れる音だけがこだましている。


石造りの河原の湯



冬はミストサウナ状態なので



 河原の湯も御夢想の湯に負けず劣らず熱かった。
 じんじんするほど熱く、熱い湯に耐性のあるある私でなかったら足先を入れて引っ込めるところだ。
 磨いた金属の臭いは健在で、それはもう目の前で磨いたか削ったかというくらいはっきりと感じられる。
 錆びた臭いは正直苦手だが、磨いた臭いは好き。
 この河原の湯の金属臭は、湯上りもずっと続く。
 上の湯で自分の中の何かが溶け出していくような気がしたが、ここでは肌を通して浸みこんでくるようなくるような感じ。
 すっきりと、でも硬く透明なお湯が河原の湯。
 四万温泉の共同浴場の三つのお湯は、兄弟のように似ているところもあり、兄弟のように似ていないところもある。

 私がかなり熱いと感じたくらいだから、後から入ってきた観光客の二人にはとてつもなく熱かったようだ。
 最初は我慢して入っていたが、地元の方も私も上がった後は、ばしゃばしゃとこれでもかと勢いよく冷水を入れていた。
 既に時間は3時を回ったようで、地元の方が「もう時間ですよ」と浴室の電気を消してしまった。


外来入浴は終了です




1-18四万たむらの森のこだまでへ続く


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