◆◇レンタルキャンピングカーで北海道◇◆
北海道キャンプ旅行記
17.最初のキャンプの夜、虫との戦い
キャンプ場は静かだ。
ほかに誰もお客さんがいないんじゃしょうがないが、暗くなると静けさが増す。
今までにもこうしたほかにお客さんがいない単独キャンプを何度か経験しているが、やっぱりちらほらと他のお客さんがいるくらいの方が落ち着く。
選んだキャンプサイトは管理棟からも近く、後ろは緩い斜面になっていて、斜面の下に炊事棟とトイレがある。
今はまだ湯上りで暑いくらいだが、北海道の夏はもう終わりの時期だしたとえ真夏でもそれなりに冷えるので、この後どんどん寒さが身に染みてくるはず。寒いのが苦手な私は既に上に3枚、下に1枚追加で重ねる服を準備済みだ。
キャンピングカーの屋根のサイドからはするするとタープが引き出せるようになっている。
しかしこれを引き出すと、とたんに臭ういぶされたような特徴のある臭い。しかもタープも随分とぬれている。
「こ、これは・・・最後に雨の日にジンギスカンをやったに違いない。絶対にそうだ」
次に火を興す。
キャンピングカーをレンタルするときにお願いしたバーベキューコンロはなんと新品だった。まったく梱包を解いていない状態。炭を使うと色も変色するし熱でゆがむ部分もできるので、おろしてしまうのがもったいないようだ。
毛ガニはさっき釧路の和商市場で買ったものが二杯。
炊事場のステンレスのテーブルで解体する。一人で延々と作業しているとハサミを持つ手が痛くなる。
少し寒くなってきたので先ほどに追加して、さらに上着を着込んだ。
こんな温度なのに蚊のような虫がいたのか、私とレナはそれぞれ首筋を刺されて腫れてきた。症状が同じだから同じ虫にやられたんだと思う。かゆいと言うより触るとちくちくと痛む。そんなにひどくはないが。
虫と言えばもっとゾッとすることがあった。
カメラを取りに車の助手席に上半身を入れてごそごそやっていたら、何やら脇腹のあたりにもぞもぞするものを感じて悲鳴を上げてしまった。
全身着込んでいるので虫が入るとは考えにくかったのだが、トップスの裾から入り込んだらしい。
想像したくないのでぎゃーぎゃー叫びながら服の上からそれをつまんだが、動きが止まらない。そのまま背中まで上がってきた。
子供たちに頼んで首筋からのぞきこんでもらったが、私が暴れるのでよく見えないと言う。
結局自力で服の上からぷちっと・・・。
結構大きかったし硬かった。子供たちにちり紙でつまんで捨ててもらったけど、「どんな虫だった?」と聞いても「聞かない方がいいよ」とレナ。
よりにもよって白いカーディガンを着ていたので、それもしょっぱなから汚れてしまった。
ああ、こうして書いていて今思い出してもゾッとしてむずむずする。
自分は比較的虫には強い方だと思うけど、このときの体験だけはダメ。
和商市場で買ったものには殻つきの牡蠣もあった。
牡蠣は私は大好きなのだが、パパは苦手。彼はフライにした牡蠣しか食べない。
殻つきの牡蠣は美味しいんだけど、殻を開くのが大変だ。テレビで見たように専用のナイフを差し込んでさっさと開くことができれば苦労しないんだろうが、もちろん素人ではそんなわけにはいかない。
力を入れると歯が滑った時に危ないし、ナイフを入れるべきポイントがどうにも判らない。
何度かトライしたパパはついに諦めて、えいやっと牡蠣をコンクリートに打ち付けた。
すると殻の一部が欠けて、閉じている部分がむきだしになった。なるほどこうやればいいのか(ち、違う?)。
牡蠣は3枚あったが、全部同じようにいったん叩きつけてからナイフで開いた。
パパは牡蠣に食中毒であたる場合は殻の菌が原因なんだと言って、中身を水洗いしてからひとつは生で、残りは醤油をたらして炭火の網で軽く炙った。
もちろん全部私がいただいた。子供たちは食べないし、パパに食べようよと誘ったのだが、牡蠣だけは勘弁してと言われてしまった。
毛ガニは四人で食べたが食べきれないほどあった。
鮭も食べきれないほどあった。
鮭は残りの切り身は焼かずに取っておいた。
この時はまだ食材が余っても、キャンピングカーで泊まる初日なのだからいくらでも消費する機会はあると思っていた。