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◆◇夏休み函館紀行◇◆
母娘函館観光旅行記

22.湯の川温泉で道に迷う






 8時13分。
 コインロッカーから重い荷物を出して函館駅前バス乗り場の3番線に並んでいる。
 バス停のベンチには二組ぐらいの先客。
 電車と違ってバスは時間通りに来なかったり、小銭が足りなかったり、停留所名がよく判らなかったりと不安が多い。







 不安を抱えながらやってきたバスにぞろぞろと乗り、二人掛けの後部の席に陣取った。

 バスが発車してすぐに通路を挟んで隣の席のおじさんが話しかけてきた。
 さっきベンチで座って待っていた夫婦連れとおぼしい人だ。外観は一般人には見えない。北海道の函館ではなく、ハワイか沖縄のショッピングモールにいれば普通の人に見えるかもしれないが。

 函館旅行に来て湯の川温泉に泊まるなら何回かバスを利用するだろうから小銭よりもバスカードを買った方がいいよと強く勧められる。
 一往復すれば元が取れるからと何度も言われて、ついそれもそうかなとバスの運転手からカードを買ったが、結局なんだかんだで半分以上余らせてしまった。

 さらに、まるせんに行くなら(観光案内所のお兄さんが教えてくれた)熱帯植物園前停留所よりも手前の湯の川温泉停留所の方が便利だと教えられ、これまた後で後悔することになった。
 まあこっちの件に関しては、まったくおじさんのせいでは無いのだが。

 とにかくバスは夜の海岸沿いを走り、湯の川温泉の温泉街に入り、降りた湯の川温泉停留所のあたりはかなり賑やかで明るい感じだった。
 明るいといっても人がいるわけではなく、ライトアップされた大きな観光ホテルが立ち並び大通りにはひっきりなしに車が行き交うというものだ。
 おじさんたちは熱帯植物園前まで行くと言っていて、このバス停で降りたのは私たちだけだった。


バスを降りたところで見かけた元祖バスラーメン



 観光案内所で貰ったマップを見ると、湯の川温泉まるせんは、丸仙という漢字の宿名で表記されていて、湯の川温泉停留所と熱帯植物園前停留所の間に流れている湯の川の、熱帯植物園前側の川岸に建っているようだ。
 だから湯の川温泉停留所からは、川を渡ってその川岸を川に沿って歩いていけば着く。
 簡単じゃないか。
 道に迷うとはこれっぽっちも思っていなかった。
 それなのにマジで道に迷うとは。

 大通りを歩き始めるとすぐに橋があった。橋の下は川が流れている。
 橋を渡りきると対岸に公園のような場所が見えて、川沿いに遊歩道のような道が通っているのが判った。

 なんの疑問も抱かずその川沿いの道を歩き始めた。
 既に朝から晩まであちこち歩き過ぎで、特にレナはほとんど体力の限界なのか泣き言を言っている。
 さっきコインロッカーから荷物を出したので手分けして持っても重い。それがますます足取りも重くする。

 地図を見ると川の東岸で一番最初にある宿がまるせんなので、見間違えようがないと思う。
 なのに歩けど歩けどそれらしい看板は見えない。
 夜なので大通りから外れるとほとんど明かりもない。明かりが無いと手元の地図も確認できやしない。
 あと少しあと少しと歩き続けると目の前に橋が見えてきた。

 流石にこの時点でいくらなんでもおかしいと思った。
 どこかで道を間違えている。でもどこで?

 街灯の下で地図を確かめる。
 ・・・ま、まさか・・・

 よく見ると川は二本あったのだ。
 正確には海の手前で合流して一本になるのだが、バス停のあった道路はちょうど合流地点のわずかに手前なので、本当は二本川を渡って、二本目の大きい方の川の東岸を行かなければならなかったのだ。

 しかし言い訳をさせてもらうと、観光案内所で貰ったマップではその合流地点の辺りはちょうどバス停の名前などでほとんど隠れているし、これが昼間ならもっと早くに気づいたと思うし・・・。

 「ごめん、戻るわ」
 レナに死にそうな顔をされた。
 ごめんごめん、今度こそちゃんと宿に着くから。

 結局私たちはわざわざ宿に近いからと本数が少なくて不便なバスを選んだのに、市電の湯の川温泉駅近くまで間違えて歩いてしまって、再びまたバス停の辺りまで歩いて戻らなくてはならないことになった。

 こんなことなら最初から観光案内所に教えてもらった通り熱帯植物園前で降りるか、むしろ本数の多い市電で来るんだった。
 後悔してもあとのまつり。
 まるせんの灯りが見えてきたときには泣きそうだった。


まるせんに行くには二本目の大きな川を渡らなくてはならなかった



2-23湯の川温泉まるせんへ続く


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