子連れ旅行温泉日記の目次子連れ温泉ガイド地熱愛好会 > 子連れ旅行温泉日記 > 四万たむらの休日2 > 2-8六合村の応徳温泉

◇◆四万たむらの休日2◆◇

8.六合村の応徳温泉











 六合村の六合は、「くに」と読む。
 入山、小雨、太子、日影、赤岩、生須の六つの字名を合わせてひとつの村としている。
 道の駅六合の敷地にくつろぎの湯という日帰り温泉施設がある。
 正式には「六合村高齢者センター」だったらしいのだが、外看板のその「高齢者」の文字の上に何かシールを貼って半分剥がれた形跡があり、今でも「高齢者センター」と呼ぶのが正しいのかいまひとつ判らない。

 でも、建物の中をちょっとのぞくと、確かに何となく「日帰り温泉」ではなく「高齢者センター」と言うのがしっくりくるような、そんな雰囲気が漂っている。
 ここの駐車場で待っていた消しゴムさんと合流して、私たちはくつろぎの湯の中に入っていった。
 とにかく北風が冷たく、急いで建物の中に避難したい気分だった。

 スリッパに履き替えて中に入ると、どの辺が高齢者センターらしいと感じるのかようやく判った。どことなく作りが病院っぽいのだ。
 でもその割に、畳の休憩室を覗くとそこには炬燵がよっついつつ置いてあったりする。
 一般的な日帰り温泉の休憩室と言えば細長いテーブルだ。
 それが「こたつ」。
 炬燵掛けもそれぞれ統一感無くまちまちで、置いてある位置も等間隔ではなく適当。いかにも地元の年輩者が一日のんびりするのに重宝する場所という感じで思わず笑みがこぼれてしまう。
 面白いなぁ、この雰囲気。
 生活感にみちみちている。



病院のような公民館のような・・・ちょっと不思議な雰囲気の応徳温泉くつろぎの湯



 浴室の暖簾は裏返っていた。
 「湯」の字が鏡に映したみたいになっている。
 例によって脱衣所で私はまた一番ビリになってしまった。

 応徳温泉と言えば、黒い湯の花が有名だ。
 でもその他にはどんな先入観も持っていなかった。
 二、三年前に改築したと聞いていた割に古びた浴室。えんぴつさんに聞いたら作り替えたのは壁などの部分だけで浴槽のタイルなどはそのままらしい。
 横に長い浴槽は綺麗に白濁していて、硫黄の臭いがする。
 ああそれも、平地の温泉などでもときどき嗅げる柔らかいゆで卵風の臭いなどではなく、もっと荒々しい山の温泉でしか嗅げない硫黄の臭い。どこか金属っぽさのあるこの山の温泉の臭いが好きで、まさかここでこんな臭いが嗅げると思わなかった分思いがけない嬉しさだった。
 さらさらと手触りも良い。
 先々月に回った信州高山温泉郷などでは贅沢なくらいこういう温泉があったけど、六合村にもあったのか。
 湯の花は白いものと黒いものと。
 色ははっきりしているが形は小さく消しゴムかすぐらいのサイズ。逆に小さい分、ゴミと間違える人がいそうだ。
 温度は程良い温度。
 きもち熱めぐらいで、ここのお湯の個性とよく合っている。
 手すりの所に何か結びつけてあってそれがお湯の中にゆらゆら浮いている。木の板か何かかと思ったら、温度計だった。

 本当のところ、ここのお湯はすっかり気に入ってしまって、時間が許すならもっともっと入っていたいところだった。
 お湯ももっとゆっくりしていきなよと言っている気がする。
 でもくららさんも上がってしまったし、昼間からお風呂に入りたくないと言った子どもたちも車で待っているはず。そろそろ上がらなくちゃね。
 温まり度は四万には敵わずさあっと汗が引く。
 また近くを通ったら立ち寄りたい。そんな風に思う温泉だった。



裏返しの暖簾



白濁した応徳温泉




2-9野反ライン山口へ続く


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