嵐山展望台と羽地内海

　競争するように階段を上った。
　展望台について振り返ったら、あれ、レナがいない。
　「こっちだよー」
　反対側からあらわれた。
　「ほら、見てごらん、綺麗だねー」
　「うわー」
　眼下に広がっていたのは、山側からの展望台までの道のりや、如何にも古びた建物からは想像もつかないような景観だった。
　本部半島と屋我地島に囲まれた箱庭のような羽地内海に、こんもりとした緑の小島が点々と浮かぶ様子。珊瑚礁の海の水色。船、空、白い雲。
　複雑な海岸線がパズルのピースのようだ。
　「ママ、カナも来ればいいのにね」
　こましゃくれた小学一年生は利いた風な口をきく。
　親が二人を呼び捨てにすることから、いつも姉にもためグチの妹。