子連れ旅行温泉日記

高ソメ キャンプ場日記◆青空の上高地を仰ぎ見て◆



初日 2003年8月29日(金)

こんなに出発できるか危ぶんだ旅も無かった。

 今年の梅雨は長引き、さらに梅雨明け宣言の後も曇天が続いた。
 ようやく8月も後半に差し掛かって天候も安定し、前々から企画していたキャンプオフの日が近づいたのだが、どうも再び前線の動きが活発になってきた。我が家はオフの土日に前後一日ずつをつけて四日間の旅行日程を組んでいたが、週間予報が出た時点では、四日全てに傘のマークがついている有様だった。
 本当に行かれるのだろうか…。

 我が家は自称お気楽キャンパー一家なので、今まで雨のキャンプはしたことがない。子供が生まれてからはもちろん、夫婦二人の頃から雨が降れば行かないか、長期の場合は現地で宿を取るなりしてしのいできた。
 今回の行き先は標高が高いから雨が降れば寒いだろうし、幼児連れだからテントの外にも出られないだろう。設営も撤収も難儀だ。雨の中行ったって楽しくないのでは?
 何だか行かれない気がしてきた…。

 さらに自分が体調を崩してしまった。
 前の週末に、三日掛けて房総にキャンプに行き、炎天下の九十九里浜で遊んだり、二日も続けてプールに入ったりした。高温と湿潤した熱帯のような気候でのテント設営・撤収も厳しかった。加えて帰宅した翌日、子供たちとまたまたプールに行ってしまったこともあり、どうも体力を使い果たしてしまったようである。
 体力にメーターがついているとしたら、ひとつこなすごとに赤いラインがグーっと減り、最後はちかちかとランプが点滅していたはずだ。気がつかなかったのは迂闊だった。
 水曜日の午前中からくらくらしていた。昼過ぎにはだんだん立っているのが辛くなり、夕方には頭痛も吐き気もしていた。夜にはぞくぞくしたりカーッと熱くなったりで、寝苦しくほとんど寝付けなかった。
 朝になって熱を測ったら38度3分。午前中のうちに医者に行き、「扁桃腺をしてもいつも熱を出さないあなたが発熱するのは珍しい。何かひどく疲れることをしたか、直射日光に長く当たったかしたでしょう?」と言われた。
 …どっちも心当たりがありすぎる。
 その日は一日寝たり起きたり。熱もなかなか下がらず夜になっても37度9分だった。
 …本当に本当に行かれるのだろうか?

 とりあえず医者に処方してもらった薬を飲んだ。
 それから他の薬と一緒に飲んでも大丈夫だといわれていた頓服薬を飲んだ。
 医薬品扱いのドリンク剤も飲んだ。
 さあ、どうだ!!

 出発の前日だった。
 やっと熱は下がった。朝から36度台。体が軽いなぁ。
 天気予報は二転三転。なか日が晴れの両端が曇り時々雨になったり、前半が晴れと曇り、後半が曇りと雨になったり。

 そして金曜日の朝の今、車は長野県奈川村目指して首都高を走っている。



 途中諏訪SAで休憩し、朝食のパンを買ってまた走る。混雑も無く松本ICに着いたときは朝の10時過ぎだった。
 国道158号線こと野麦街道を南西へ行くとどんどん山は深くなり緑も濃くなる。細く三方向に腕を伸ばした長いダム湖を見下ろしながら先を急ぐ。今日はよく晴れている。明日からの天気は不透明だから、このまま上高地へ行ってみようか。

 奈川渡ダムの長いトンネルのところで分岐を右へ行く。右へ行けば上高地、平湯方面、左へ行けばキャンプ地だ。

 トンネルの多い道だ。それだけ難所なのだろう。金曜日にも関わらず車の量は多い。夏休み最後の週末をこの景勝地で過ごそうと思う人が多いようだ。
 上高地は通年一般車両通行禁止のため、手前の沢渡(さわんど)でバスまたは専用タクシーに乗り換える必要がある。とりあえず車を村営の沢渡高見平駐車場に停めてシャトルバスを待つことにした。沢渡駐車場からのバスは随時発車となっていて、このときは前のバスが行ってしまったばかりだったので10分ほど待った。

 上高地に行くのは二度目だ。
 ちょうど今5歳のカナがお腹にいるとき、新平湯温泉に泊まって帰りに上高地に寄ったことがある。大正池でバスを降りて、上高地バスターミナルまでのんびり散策して帰った。時折小雨も降るような天気だった。それでも梓川の向こうに聳え立つ穂高連峰の美しさは言葉にできないほどだった。
 いつか晴れた上高地を見たいな…そのとき思った。

 シャトルバスは中の湯温泉バス停のところで右折し、長い釜トンネルに入る。
 中の湯温泉バス停と言うが、今は中の湯温泉旅館はここにはない。中の湯温泉の売店と案内所と、ト伝の湯だけが残されていて旅館は少し離れた場所に移転した。
 釜トンネルはトンネル内部に信号機があり、そこは片側一車線通行だ。
 トンネルを抜けると案内放送が入り、車窓左手にこの辺りで唯一の活火山、焼岳が見えてくる。赤茶色の露出した岩肌がいかにも活きた火山らしい。
 続いて穂高連峰。この整った山容あっての上高地だと納得させられる美しさだ。特に手前に深い緑の大正池があると、自然の造詣に驚かされる。


 
 カナもレナも自主的に歩いてくれるとはとても思わなかったので、大正池バス停では降りず、終点の上高地バスターミナルまで行くことにした。ここから河童橋の辺りまでのんびり散策することにしよう。

 透き通った梓川の流れに目を遣れば、ちらほらと水に遊ぶマガモの姿。
 子供たちは喜んで「カモさん、カモさん」と後を追う。
 ベンチでお弁当を広げていたグループが、「ほらここにカモがいるわよ」と教えてくれた方を見れば、すぐ足元をよちよちと歩いていく。レナがはしゃいで両手を広げて追いかけたら、流石におびえて逃げてしまった。

 
 平日でも人ごみ。天下の河童橋。
 良い天気だったので橋の袂の河原でお昼を食べることにした。大きめの石にめいめい座り、買ってきたお弁当を広げる。歩いているときは暑いくらいだったのに、腰を下ろすと寒いくらいだ。やっぱり長袖を一枚持ってくるべきだったか。仕方ないので持ってきた温泉タオルを、かっこ悪い~とは思いつつスカーフ代わりに肩に巻く。そうしたら、カナとレナに一枚ずつ取られてしまった。
 何で温泉タオルなんて持っているかって? 今年のGWの尻焼温泉の教訓を活かして、どんなときでもこれだけは持ち歩くことにしたのだ(笑)(榛名湖日記その6参照)。


 梓川左岸を上流に向かって10分も歩けば、もっとマガモがいる湿地帯につくとガイドブックにあったので、食事の後はカモに逢うために少し歩いてみることにした。

 途中、木道だったり、小さな橋があったり…。
 レナなど歩いてくれないのではないかと思ったけど、日ごろ歩いている家の近所などと違って面白かったみたいで、結構自主的に歩いてくれた。カモに逢いたいという気持ちも強かったのかもしれない。

 
 残念ながらカモはいなかったけど、景色は綺麗だった。水の澄んだ淵など吸い込まれそう。

 午後一時過ぎ、上高地を後にした。
 沢渡駐車場行きのシャトルバスは随時出発。既に20人近くが並んでおり、10分も待たずにバスは来た。補助席もみんな使って乗れるだけ乗客を詰め込んでからバスは出発した。大正池など途中のバス停で待っている人もいたが、バスターミナルで満車の場合はバスは通過してしまう。この分ではなかなか乗れるバスは来ないのではないだろうか。

 キャンプ場についたのが午後3時半。
 高ソメキャンプ場は、白樺が植えられたなかなか雰囲気の良い林間サイトだった。中央に釣堀があり、その近くが人気のようだ(左の画像は釣堀(池)のそばの様子、右の画像は我が家のテントとタープ)。


 
 今夜は我が家の1サイト、明日の夜はプラスれもん家とTetsu家の計3サイトを予約してある。ここのキャンプ場は区画されているが、場所は好きなところを選んで良いというので、空いている今日のうちに、3サイト分場所をキープした。
 トイレは綺麗だが、炊事場は洗うところの奥行きが広すぎて洗い物が辛い。でも全体的に良い感じ。



 見て、おっきなトンボを捕まえたよ。
 テントサイトの横に巨大な妙な花のようなものがあったので触って見たら、傘が開ききった巨大キノコだった。
 蚊は少ないけど蛾だらけ。
 それにしても先週の房総キャンプに比べるとなんて涼しくて快適なんだろう。空気も乾いていてとても気持ちいい。
 …それはまだ、この時点では明日からの地獄を知らないからこんなことを言っているのだが(笑)。

 そうそう、これは温泉日記なのだから温泉について少し書かねば。

 上高地に行った時点では、こんなことを考えていた。
 …やっぱり上高地に来たら、帰りは中の湯温泉に入って帰りたいな。坂巻温泉でもいいんだけど、どうせならト伝の湯に入ってみたいし…

 しかし、思いのほか上高地で時間がかかってしまった。

 …パパは旅館の立ち寄り湯は避ける傾向にある。特に子連れだから使い勝手の良い休憩室もついた日帰り専門施設にしようと言いそうだ。
 それじゃ中の湯は諦めて、沢渡温泉にしよう。梓湖畔の湯にしようかな、それとも御憩み処さとうにしようかな…。

 しかし、沢渡も通り過ぎてしまった。

 仕方ない、キャンプ場に先に行ってテントを張ってから、近くの温泉に行こう。最寄は新奈川温泉リフレ・イン・奈川だけど、掲示板でいろいろな方にそこより渋沢温泉ウッディもっくの方がいいと教えてもらった。そうか、今日はウッディもっくか…。

 が、しかし、夕食を食べ終わった時点でウッディもっくの立ち寄り受付時間も過ぎてしまったのである…。

 …もしかして、もしかして、もしかして今日は温泉は無し???
 GWの4月後半を最後に温泉旅行に行っていなくて、ぽつりぽつりと自宅から日帰り入浴はしているものの、もう何度も行っている板橋温泉スパディオだったり、難民キャンプ状態だった空恐ろしい混雑のお盆のかすかべ湯元温泉だったり、混浴マナー至上最悪最強の思い出すのも嫌な百穴温泉だったりして、やっと旅行に行かれた先週の房総でも三日間のうち温泉に入れたのは白子温泉の一日だけ、待ちに待ってやっとやっとやっと秘湯名湯てんこ盛りの憧れのエリアに来たというのに、今夜は温泉お預け?
 ええ~~~ん
(病み上がりなんだから、そのくらいにしときなさいって(笑))


続く…

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