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◆◇九州温泉巡り旅行記◇◆
阿蘇-長湯温泉-黒川温泉

10.冷たい温泉が苦手な私






 温泉施設には一般に人気のある温泉、特にコアな温泉ファンに人気のある温泉、マニアックすぎてほとんど知られていない温泉などいろいろあって、もちろん最初の二つが重複しているところもあるのだが、この赤川温泉赤川荘というところ、コアな温泉ファンには特によく知られているところのようだ。
 ゆで卵の臭いがして白濁した温泉と言えば火山性で熱いというのが一般的な印象だ。
 むしろ熱すぎるあまり気体になっているのを水を通して造成泉として使っている方が珍しくない。
 しかしこの赤川温泉は冷たいらしいのだ。
 安易に何でもかんでも加熱せず、冷たいままの源泉槽があり、そこがいいんだと言われるが、一方冷たいのが苦手な私にはハードルが高いんじゃないかなんて事前に聞いていた。

 そう、私は冷たい温泉が苦手。
 体温より気持ちぬるいくらいまでならいいけど、それより温度が下がると辛い。
 水風呂とかだいたい足先だけ入れては逃げ出す。
 夏だけど入れるかなぁ、どうかなぁとちょっと及び腰。


赤川荘の入り口横にある小さな滝


 駐車場は登山道の駐車場を兼ねていた。
 宿まではここから数分歩かなくてはならないと看板がある。宿泊者は宿の前まで車で行ってもよいようだが、私たちは日帰り客なので。
 車を降りるどころか車のドアを開けるのも躊躇するような激しい雨。
 もちろんパパは降りる気は無く、一人で入ってきていいよと言う。

 「そっかぁ・・・じゃ待ってるの?」
 「・・・」
 「すごく評判のいい温泉みたいだけど。何だか珍しいお湯みたいだよ」
 「・・・」
 「じゃ、決意して行ってくるね」
 「・・・やっぱり一緒に行く」
 意外だった。
 絶対待っていると思ったのに。

 で、傘は?
 「そもそも家から持ってきてない。荷物になるから」
 「・・・」
 この土砂降りの中、頼りになるのは私のちっちゃな折りたたみ傘一本かい。




 しょうがないので相合傘で歩いた。
 足元は舗装されているが車一台がやっと通れる細い道。対向車とすれ違うのは無理だ。
 ザーザーと音を立てて降る雨が、コンクリートに跳ね返って足元をぬらす。
 運動会の二人三脚みたいに息を合わせて早足で歩いた。

 それほど遠くは無かったが、雨が激しいので道のりは長く感じた。
 見えてきた建物は、山の中の一軒宿としてイメージしていたものとはかなり雰囲気が異なり、サーモンピンクの外壁とレンガ積みの入り口とイタリア国旗のカラーにOPENと書かれたウェルカムボードに、一瞬の宮沢賢治の注文の多い料理店に入るような気がした。
 でも中は特別洋風なわけではなく、帳場周りは普通に山の中の一軒宿だった。女将さんは親切そうだった。







2-11赤川荘の温泉へ続く


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