◆◇桜の古都巡り◇◆
京都観光旅行記

3.大原のバスターミナル

　町中をしばらく走った後、バスは鴨川を渡り、鴨川に沿って北上する。
　川沿いにはずっと桜並木が続き、もうここは古都らしい観光名所ではなく、ただただ満開の桜咲く日常の営みの風景。
　桜だけは本当に見事で、道路に覆いかぶさるように主張してくる。そんな景色がどこまでもどこまでも続く。

　途中の停留所から乗ってくる人あり、降りていく人あり、観光客ではなくほとんど地元の人のようだ。
　気が付くと辺りの景色はもう町では無かった。
　住宅はあるが山が近づいている。
　花尻橋という停留所でどっと若い人たちが降りていった。みんなカジュアルな服装だが荷物などから観光客には見えない。降りた人たちは左へ入る道の方へ歩いていく。看板には京都大原記念病院とあった。たぶん病院で働いている人たちの出勤時間だったのだ。

　その先はバスはがらがらになってしまった。
　大原まで乗っていく人はほとんどいなかったらしい。
　もう一本後のバスならまた違うのかもしれない。

　8時12分。
　バスは終点大原に到着した。
　天気が下り坂なので空は何となく灰色、うら寂しい感じを醸し出す。
　バスは私たちを降ろした後、ターンして小さなターミナルの隅の方に停まった。

　京都バスの大原バス停は、大原の主要観光地である三千院と寂光院の間にある。
　おおざっぱに言うと、ここから東へ10分歩けば三千院、西へ20分歩けば寂光院だ。
　今日のお昼は寂光院近くの大原温泉でランチと入浴と考えていたので、その計画からすると先に三千院を回ることになる。
　つまり当初の計画では午前に三千院を拝観⇒昼に大原温泉⇒午後に寂光院拝観の予定だったが、予定を前倒しにしたので三千院⇒寂光院⇒大原温泉になる。

　三千院の拝観受付開始まで20分近くもあるので、ゆっくり歩いていけばいい。
　えーと、バス停の看板によると「横断歩道を通り、電話ボックスの裏道を行ってください」。ふむふむ。
　さっきバスで走ってきた道に横断歩道が見える。信号機の横にも矢印がある。地図が無くても迷わず行かれそうだ。