子連れ旅行温泉日記の目次子連れ温泉ガイド地熱愛好会 > 子連れ旅行温泉日記 > 晩秋の草津旅行記 > 3-4草津温泉のニセ湯の花に思う

晩秋の草津旅行記

4.草津温泉のニセ湯の花に思う










 脱衣所に戻って一休み。
 入り口近くにある張り紙に目が止まった。
 「草津の湯の花について」
 そこに書かれていたのは、前にもどこかでちょっと聞いたことはあったが、まだ詳しいことは知らなかった草津湯畑の湯の花のことだった。
 草津のシンボル湯畑は、目の前でふつふつと源泉が湧きだしてそれが何本も並んだ木の樋を伝って最後は湯滝からざんざんと落ちる。
 樋には効能あらたかな湯の花がどんどん溜まるので、2ヶ月に一度ほどの割合で採取する。
 これは戦前は薬品で毒消しの丸薬にも調合されていたが、どうやら厚生省に薬品としての届け出をしなかったため、現在は薬品扱いされていない(別府の湯の花は届け出を行ったため現在も薬として認可されている)。
 薬品として認められていないため、偽物の草津の湯の花が横行しても取り締まりの対象にはならない。
 取り締まりの対象にならないのを良いことに、明らかなまがいものが「草津温泉 天然湯の花」として土産物屋や大型旅館などでまことしやかに販売されているというもの。
 見分け方も書いてあった。
 本物は三角形の透明プラスチックケースに入っており、販売元が「群馬県草津町」(つまり業者じゃなくて町が売っている)。
 偽物は販売元が「○○物産」だのというもの。
 しかもその中身たるや、もちろん湯畑で採取した本物の湯の花などではなく、原油を精製したときに出るかすに、石灰などを加えて作った粗悪品だということ。呆れた話だ。
 張り紙は、困ったことに小綺麗な土産物屋や旅館にもこれらを売っているところがあり、それだけで売っている店の格が知れると結んであった。

【これまたタイムリーなことに、このことを旅行記に書いているまさにその日、草津湯畑の偽湯の花はニュースにすっぱ抜かれました → 参考1  Yahooニュース<湯の花>実はただの硫黄…草津温泉で販売4社に排除命令(日数経過によりリンク先が削除されたのに伴いリンクは外しました) 参考2 公正取引委員会 平成18年12月14日付け文書 草津温泉地区における入浴剤販売業者4社に対する排除命令について(PDFファイル)




 帰り道はそんな張り紙を読んだ後だったから、湯畑周辺の土産物屋がやたらと気になる。
 湯畑の真ん前に屋台で店を広げているところを2ヶ所ほどのぞいて回った。
 ジャムのビンに詰めたような湯の花を沢山並べて売っている。
 おじさんは「目の前の湯畑で取れた本物の湯の花だよ。すごく効き目があるんだよ」と声高々に客寄せをする。
 観光客が何人ものぞき込み、黄色い粉末の入ったビンを手にとって眺めている。
 私も手にとってラベルを読んでみた。
 「・・・販売元 湯本物産・・・」
 思わず「なんだ偽物か」と口をついていた。
 おじさんがこちらを睨んだ気がする。
 気にせずビンを置いて立ち去った。
 あの立地条件で売っていたら、知らない人はみんな騙されるに決まっている。
 草津ブランドの信頼にも関わるだろうに。







3-5草津のアイドルゆもみちゃんを探せへ続く


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