キッザニア X キッザニア 夏休み混雑のキッザニア

*04*



「ごめん、デザイン教室やっている間に、ステージマジックの募集が終わっちゃった」
「えー」とカナは少し不満そうな声をあげたが、私が30分待つよりデザイン教室で壁画を塗っていた方が良かったでしょと言うと納得した。

ステージマジックはまた次の機会にでも。

まだ何度もキッザニア東京に来るつもりがあるからこういうことができる。
最初で最後かもしれないと思えば無理してでも並んでいただろう。
この辺が、普段の土日と今日のような長期休暇の客層の違いにもあらわれる。

さて、ステージマジックが駄目ならと、私は二人をさっきも一度行ってタイミングが合わなかった裁判所に連れていった。

おや、裁判所にはもう何人も子供が並んでいて、スーパーバイザーが何か言ってその子供たちに手を挙げさせている。
もしかして配役決め?
もう定員締め切られて間に合わない?



二人は急いでスーパーバイザーに聞きに行き、その結果「あと2、3分で始まるって。ちょうど2人だけならぎりぎり入れるって」と嬉しそうに戻ってきた。
ベストタイミング!!

裁判所定員は9人。
但し、最低人数が5人なので、平日2部のように空いている日だと、その5人がいつまでも集まらず、なかなか法廷が開かれないことになる。
だから裁判所は珍しく、混んでいる日にこそお勧めのパビリオン。

さて裁判所についても少し説明しておこう。
建物は警察署と同じ所。
警察署の奥にあって、二重の窓越しに法廷の一部は見ることができるが、中に入っての撮影はいっさい禁止。
また、練習後は保護者も裁判を傍聴することができるが、その場合、途中からの入室は可能でも、途中退場は基本的にできない(事情がある場合は要相談)。

裁判のシナリオは3種類。
民事裁判が一件、刑事裁判が二件。
その回のメンバーの年齢や人数を考慮して選ぶようだが、このときは民事と刑事とどちらが良いか問われて、多数決で刑事裁判となり、刑事裁判に決まった時点で二つのうちどちらを選ぶかはスーパーバイザーの方で判断したようだ。

メンバー9人の内訳は、裁判長1人、裁判官2人、検事2人、証人2人、弁護士1人、被告1人(刑事裁判の場合)。
最低人数の5人で行う場合は各1名ずつになるものと思われる。
配役はくじ引きで決める。
ここで問題になるのは、誰もが被告役をやりたがらないこと。
被告をやりたくないあまり、裁判所を体験しない子供も多いと思う。




レナはどこから憶えたのか、裁判長はピコピコハンマーを使うんでしょ? なんて言っていた。
ちーがーうー!!
カナとレナも最初は「犯人になるのは嫌だから裁判所はやりたくない」と言っていた。
そのことと、法廷が開かれている間は途中退場できない(姉妹の片方が別の仕事をしていると不便)という理由から、今まで我が家は裁判所に関わったことがなかった。

でも未体験パビリオンが減ってきて、ちょうどやる気になったのだから、この機会は逃したくない。

「私、被告役やりたい」
「レナも」
待っている間、二人はそんなことを言った。
一番やりたく無いものをやりたいと言うことによって、もし被告になっても精神的ダメージが少ないようにそう言っているように見えたけど・・・本当にやってくれるかな?

心配していたのだが・・・心配していたとおりになってしまった。
中に入ったメンバーが、衣装を身につけ席に着いているところが窓から見える。

右手に裁判官と裁判長。この中にはカナもレナもいない。
正面の席にレナがいた。グレーのスーツ姿だ。
カナが見あたらない。
もしかして・・?



とりあえず15分後に本番が開かれるというので、私はいったん席を外し、デリカテッセンで食事を買って劇場で食べた。
もう最近はその辺のテーブル席が空いていないとなると、さっさと劇場へ行くことにしている。
飲食可能で座席はふかふか。時間帯によっては出し物も楽しめる。

デリカテッセンが混んでいたこともあり、食べ終わって戻ると、もう10分以上が経過していた。
でも誰も入る様子が無い。スーパーバイザーに確認するとあと10分ぐらいとのこと。



さらに10分経って、ようやく法廷の扉が開いた。
待っていた保護者たちはぞろぞろと中に入る。

既に子供たちは待機している。
正面奥に裁判長と裁判官。右手奥に被告、右手手前に弁護士、被告や弁護士の向かいに検事二人、検事の後ろに証人二人(刑事裁判の配列)。

レナは証人役。
なんとカナは9人中一人しか選ばれない被告をばっちり引き当てていた。

それぞれが前に置かれたシナリオを読んで役を演じることになる。

今回の裁判内容は・・・
  • 被告はクレジットカードセンターからお土産ショップに向かう途中、横断歩道を疾走し、証人の一人とぶつかった。
  • キッザニア内は走ることが禁じられている。
  • 証人に怪我は無かった。
  • そのときの横断歩道の信号は点滅していた。
  • 被告は弟のためを思って走ってしまった。
  • 目撃者は横断歩道を疾走しているところしか見ていない(それ以前から走っていたかどうかは定かでない)



以上の事実から、判決を選ぶことになる。
判決は、
  • 5m以上全力疾走したことにより道路交通法違反で1,000キッゾの罰金
  • 道路交通不注意法違反の罪で200キッゾの罰金
  • それ意外の罰を与えるべき
  • 無罪
の、いずれかから選ぶ(罪名はよく憶えていないので間違っていたらごめんなさい)。

それぞれの役で裁判のシナリオを読み上げた後で、スーパーバイザーは、「来年から日本で裁判員制度というものが始まります。誰でも裁判員に選ばれる可能性があります。そこで、今の役を全て忘れて、みなさんにはこれから全員裁判員として、今の事件について考えてみて下さい」と言った。

全員が同じ立場で量刑判断を行うのだ。

裁判所兼警察署の全景




面白いのは、全員同じ立場に戻ったにも関わらず、めいめい自分がやった役に引きずられることだ。

当然被告のカナは無罪を主張。
無罪を主張している役の弁護士も無罪を主張。
姉が被告のレナも無罪を主張。
一方、証人の中でも、被告にぶつかられた役の子供は一番重い刑を主張していた。
この他、裁判官や検事たちの主張はバラバラだった。

その後が又面白い。
全員に、何故その刑を選んだのか理由を発表させるのだ。
うわぁ、裁判所って勉強になるなぁ。
明日は自分だって裁判員制度で選ばれるかもしれないんだしさ。

いろいろな意見が出た。
間違いなく全力疾走したはずだから1000キッゾだとか、弟のためを思ってなので情状酌量すべきだとか。
カナの意見は、信号が点滅していたので事故を防ぐために走ったのだから無罪だというものだった。

あとそこで一押し。
私だったら横断歩道以外の場所を走った証拠は無いのだから(目撃者は見ていない)、1000キッゾは有り得ない。今後の事故を軽減するためには、罰金よりも注意・勧告を徹底すべきだと思うのだが、残念ながら大人の意見は聞いてもらえなかった(笑)。



全員の意見が終わった後で、最終アンサーを聞く。
キッザニアTVのキッザニアディスカッションと同じ手法だ。

最終アンサーの多数決で出された判決は、200キッゾの罰金だった。
まあ、妥当なところだろう。
みんなの意見を聞いた後で、1000キッゾから200キッゾに、無罪から200キッゾに代わった子供たちもいた。

面白いなー、裁判所。
面白いけど、運悪く何回も被告役ばかりをやることになったりしたら、うんざりしちゃうかも。

カナ自身は台詞が多かったので被告は面白かったと言っていた。
一番台詞が少ないのはヒラの裁判官かな。
裁判長は最後に判決を述べなくてはならないのでちょっと難しい。
台詞が一番多いのは弁護士。
このときのメンバーでは弁護士を引き当てた男の子が最年少で、難しい文章に苦労していた。
苦労していたけどしっかり読んでいた。
やはり裁判所を理解するには小学校中学年以上の方がいいかもしれない(できないって言うわけじゃない)。



裁判所が終わったのが6時8分。
結構長く掛かったなぁ。
それだけ充実していたとも思うけど。

「次、どうする? オズの魔法使いまでちょうど1時間ぐらいあるよ。そんなに並ばないものならひとつできるかも」
「おしごとライターやらなくちゃ」と真面目にカナ。「裁判所やってきたんだから、このこと書かないと」
そうだね。
というわけでお仕事相談センターに戻ってきた。

お仕事相談センターで、紹介された裁判所のことをまとめれば、おしごとライターのお仕事も完了だ。

その隙にママはちょっと2階へ行ってみようかな。
来月始めからスタートする新しいお仕事、病院の薬剤師が気になるから見てこよう。


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