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榛名湖日記アンコール3-8


8.この夜を忘れない

 帰り道、吾妻川沿いの道を走りながらパパは、あまりにこの道を何度も通ったから、もう目をつぶってでも運転できそうだと言った。
 本当に目をつぶって運転できる頃には、もうこの道は無いよ。
 だってダムの底に沈んじゃうんだから。

 榛名湖への道を戻るのも今日で最後。
 朝にはくっきりと見えていた浅間や白根の山々は、夕方にはぼんやり霞んでいる。
 もうじき夕暮れ。
 青い黄昏が落ちてきて、星がきらきら瞬く。対岸の明かりがゆらゆらと湖面に映りこんで、静かな宵となる。


上 榛名湖の残照  碁を打っているわけではありません。碁石で遊んでいるだけです

下 野鳥(水鳥)観察中 もうじき闇が落ちてくる


 夕食後、いつものショーを見せてと子供たちに頼んだら、カナは踊りたくないと言った。どうしてかな? 最後だよ。
 レナは一人でも躍ると言って、襖の奥に引っ込んだ。やがて、「ジングルベ~ル、ジングルベ~ル、鈴がぁ鳴る~♪」と威勢良く歌いながら飛び出してきた。
 うーん思いっきり季節外れだぞ。
 そのあまりに楽しそうな様子に、思わずカナも飛び出して行った。
 いつものように二人のショー。
 そしてこれが最後のショー。


前に管理人さんのおうちで作らせてもらってから、おにぎりをにぎるのが大好きなカナとレナ 日は暮れて、湖上に映る対岸の灯




4-1.最後のドアが閉まるとき…へ続く


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