浴室は受付の真後ろだった。
どうも誰も入っていないようだ。
それほど大きくはない岩風呂で、4、5人サイズだろうか。露天風呂などは無い。広すぎないところが逆に落ち着く。他に誰も入っていなければ十分な広さだ。
お湯はとろみがあって無色透明。
ほんのりと何かの臭いがするが例えるのは難しい。
軽いきしつきとすべすべする感じが共存している。
何故かどぼどぼと出ている湯口のお湯は循環湯で、浴槽の底に這う白っぽいホースから源泉が出ているようだ。
ホースを持ち上げて源泉に触れた。
湯口からこっちを出せばいいのに。
「私ねー、桧のボディーソープって好きじゃないのよ」とyuko_nekoさん。
なんで? 温泉には合っているような気もするけど。
「人工的な臭いじゃん」
ああ、まあ、言われてみれば。
しんめいの湯のお風呂をゆっくり堪能して、そろそろ出ようかと私たちが思った頃、どやどやと他のお客さんたちが入ってきた。
ちょうどアフタースキーに温泉に入ろうと思う客が来る頃合いらしい。
玄関の辺りも賑やかになってきた。