1.朝風呂は困難だらけ
えっ、あれ? 無い・・・。
フロントは昨夜同様無人で、しかも昨夜私が置いた共同浴場の鍵が無い。
どこか鍵置き場があって、そこに仕舞われているのか、あるいは早起きした誰かが朝風呂に使っているのか・・・。
きょろきょろとフロント周辺を見回したが、それらしいものは見つからなかった。
困った・・・。
もうひとつ困っていることがある。
昨日も書いたが
湯宿温泉には共同浴場が四つあって、昨夜は松の湯と竹の湯に入ることができた。
今朝は残る二つに入ってみたい。
が、しかし、私は場所を知らないのだ。
部屋においてある約款やパンフレット類が挟まれたファイルにも湯宿温泉内の詳細地図など無かった。
鍵は無いし場所は判らないし誰もいないし・・・。
迷った私はこんな結論を出した。
松の湯と竹の湯に行ってみよう。もしかしたら鍵が見つかるかもしれないし、地元の方がいたら残る共同浴場の場所を知ることができるかもしれない。
二日目 2008年2月10日(日)
絶対起きられないと昨夜は思ったが、窓の外が白んでくると自然と目が覚めた。
携帯電話で時刻を確認すると午前7時。
確か昨日のえんぴつさんたちの話では、夜は4時から9時まで、朝は6時から8時まで共同浴場に入れるという話だったはずだ。
今からなら間に合う。
そう思って布団から出て玄関まで来てみたのに、何しろ鍵もないわ、場所も判らないわで逡巡することしばし。
ようやく方針を決めて、私は
みやま荘の外に出た。
雪は止んで静かな朝だった。
積もると言うほどの雪の量では無かったらしく、石畳の上はうっすらと白くなっているだけだった。