「この辺かなぁ」
雪の夜道は何処も同じように見えてとにかく判りにくい。石畳の道は一本だし、距離にしたってほんの十数メートルのことだと思うのに。
ところが迷っているのは私たちだけじゃなかった。
前方からえんぴつさんとakemiさんの二人が歩いてくるのが見えた。
あれっ? お互いお風呂ー? なんて会話を交わしてすれ違い、ふと後ろを振り返ると、何とえんぴつさんたちも竹の湯の前で立ち止まり、「行きすぎたー」と叫んでいた。
・・・目的地は同じかい。
しかも同じパターンで迷っているし。
笑い話か?
ようやく私たちは
松の湯に至る道を見いだした。
本当に道だか他人の家の敷地内だか判らないような道だった。これは知らなかったらとても辿り着けない。
引き返してきたえんぴつさんとakemiさんも追い付いてきた。