5.絶景ほったらかし温泉
「おおー」
思わず声が出てしまうほど見晴らしが良かった。
外の脱衣所は屋根はついているが本当に外で、一段低くなったところに広い岩の浴槽が、また右手には脱衣所と同じ高さのところに木の浴槽がある。
ちょうどこの外の脱衣所自体がお風呂と広がる景色をいっぺんに眺められるベストポジションだった。
それにしても凄いなー。
二段になったお風呂の下は、うっすらと霞む甲府盆地。
そしてその向こうには、青い山々が屏風のように連なり、その一角から完璧な形の富士山が・・・。
この開放感は、他では有り得ない・・・有り得ないよねぇ。
実は子どもたちはお風呂には入らないと言っていた。
昔は親が言うままにどんな温泉にも入っていたが、最近は入りたいときは入るし、入りたくないときは入らないとはっきり言うようになっている。今日も朝からお風呂に入る気分では無いようだった。
それがカナもレナもこのお風呂を見たとたん目を丸くしてしまい、「入ってもいい?」と言い出した。
ほったらかし温泉には思わず子供も入りたくなる力があるみたい。
子どもたちはさっさと岩風呂の方に行ってしまったので、私は先に上段の木のお風呂に入った。
長方形の湯船でこれもかなり広い。
木の湯口から出るお湯はぬるめでのんびりと入っていられそう。
すっごいなー。
もうこの言葉しか出ない。
いや本当にえらいところに露天風呂を作ったものだ。
景色には感心しきりだったが、やっぱり朝早いにも関わらず少々混みすぎ。昼間や夕方はもっと混むかもしれない。
このお風呂を独占して入れればもう何も言うことはないが、町からも近いし名前は売れているしで仕方がないのだろう。落ち着くかどうかという点では、もっと山の中にある
馬曲温泉の方が個人的には好きだ。