11.確か店の名は龍上海
大文字屋を出た時刻は午後1時13分。
そろそろ帰りの新幹線のことを考えなきゃいけないんだけど、これまた中途半端な時間だった。
赤湯駅から東京方面へ向かう新幹線の時刻表は今朝、赤湯駅に着いたときにメモしておいた。
1時34分
2時31分
3時34分
4時20分・・・
やっぱり1時間に約1本。4時台のはちょっと希望より遅いから、1時から3時までのどれかに乗りたい。
で、今1時13分でしょ。
ここから駅までタクシーなら5分だけどまずタクシーを捕まえなきゃいけないし、歩くなら20~30分で今すぐ出発しても間に合わない可能性が高い。
すると次だから2時半過ぎか。
2時半過ぎのに乗るならまだ1時間15分ほど余裕があるから、まずはお土産でも物色するか。
お土産といえば目の前の酒井ワイナリーのワインも良いが、今回は車じゃなくて電車で帰らなきゃならないし、下手したらこれから赤湯駅まで30分歩かなきゃいけないかもと思ったら、へたれな自分はワインの瓶を持ち歩くことに躊躇した。
そこで無難な土産物を探そうと、最初のゆーなびからころ館に戻った。あそこにはいろいろと土産物が売っていたはず。
まだちょっと心の中では1時半の新幹線に乗るか、2時半の新幹線に乗るか迷っていた。
今すぐにタクシーを拾えば1時半にも間に合う。
迷いながらもゆーなびからころ館で買い物をする。のんびり買っていれば1時半に間に合わなくなって未練も残らないだろうと。
さくらんぼのゼリーと、お正月が近いので山形牛の昆布巻を買った。
レジのところで紅茶の手作りパウンドケーキを見て死ぬほどお腹が空いていたのを思い出し、それもひとつ買った。
そしてからころ館を出たところのベンチでパウンドケーキを食べて、とりあえず瀕死は脱した。
しかし1時半の新幹線を諦めるとなると、逆に1時間以上の時間が空くことになる。
もう十分赤湯のお湯には入ったし、何かやり残したことはあるだろうか。
半端な時間はあるので駅まではタクシーを拾わず歩くことにした。まあ駅前に着いても温泉街以上に時間をつぶす当てがあるわけではないのだが。
てくてくと
赤湯温泉大通りを歩いていくと、ふとタクシーの車窓から見たY字路が見えてきた。
確かあのY字路の裏道に例の有名な赤湯ラーメンがあるんじゃなかったっけ。
確か店名は龍上海。