夏休み東北日記 最終日


8月4日(日)

 長い旅路もついに終わりだ。
 昨夜パパがカナに、何が一番楽しかった?と聞いたら、ランプのおうちに泊まったこと、とカナは言っていた。



 変なメガネをかけて格好つけているのはレナ。このメガネは昨日の田里津庵でお土産にくれたもの。



 車まで荷物を運ぶためのカートを持ってきたら、子供達が乗り込んでしまった。発車オーライ。この嬉しそうな顔。

 結局松島はついに晴れることがなかった。
 今朝も曇り空。
 海さん、バイバイ、プールさん、バイバイと子供達は手を振る。
 天気は良くなかったけど、いっぱい泳いだ。

 さて、昨日温泉に入れなかったので、今日は一つくらい入れるかしら。
 パパにどこがいい? と聞かれて、「さっと入ってさっと帰るんだったら、秋保温泉共同浴場、少しゆっくりできるんなら、作並温泉湯づくしの宿一の坊」と答えた。
「じゃあ作並温泉へ行こう」

 途中仙台の中央を通過する。七夕祭りの準備だろうか、大きなゴミ袋を下げてゴミを拾っている人の姿が目に付く。

 48号線こと作並街道を行くと、急に緑が濃くなる。何だかこの辺りは晴れているようだ。松島はずっと雲の中だったのに。
 作並は以前一度訪れたことがある。仙台の友人に連れられて、鷹泉閣 岩松旅館に立ち寄りで入浴している。岩松旅館もとても良いお風呂だった。作並で有名なのは、この岩松旅館と一の坊なので、今回は一の坊を選んだ。パパは一の坊に縁があるなと言う。昨日の田里津庵も一の坊系だったからだ。

 湯づくしの宿一の坊は、立派な門構えだ。時間は朝の10時半で、ちょうどチェックアウトのお客さんがいなくなった頃で、お風呂もそんなに混んでいないだろう。
 いきなり立ち寄り湯専用カウンターがある。北東北の温泉を回ってきた後では入浴料金にもびっくりだ。大人1,300円(これは土日祝日料金、平日は950円)、子供500円(これは曜日による変動はないが、乳児から有料だ)。この金額でタオルもつかないんだーと思ったら、別のサービスがあるのだった。なんと、浴衣を着させられるのだ。最初は、立ち寄りで着替えさせられるなんて鬱陶しいなぁと思ったが、ここは、来たらゆっくりしていけということなんだろう。


 ロビーから二階に上がって浴衣に着替えて、今度は地下二階に下がって浴室へ行くとは、アプローチも長い。
 長いが非常に洗練された造り。今まで野趣溢れる湯が多い旅だったので、最後の温泉はこんな風に都会的で瀟洒なところもいいだろう。
 浴衣姿のパパの後をレナがちょこちょこついていく。

 一の坊で最も有名な風呂は広瀬川を臨む広瀬川源流露天風呂だ(下の画像)。


 露天風呂はこの川沿いのものと、もうひとつ鹿のぞきの湯というのがあって男女入れ替え制。午前中は残念ながら、源流露天風呂は男湯だった。
 この川沿いの露天風呂にはいくつか浴槽があるらしく、立ち湯は夏は30度のぬる湯に設定してあるらしい。

 女性用は展望の良くない鹿のぞきの湯だったのだが、ここは浴槽のすぐ側に木組みの小さな小屋があり、そこから源泉が湧いているそうだ。それほど熱くなく、深さも深くなかった。

 さて、源流露天風呂と鹿のぞきの湯ではあまりに差があるので、おまけがついている。自然風呂(旧名 行基の御湯)という、夜は貸切になる独立した湯だ。
 最初はこちらが女湯の露天風呂かと思って、先にそちらに入浴したのだが、これが結構良い湯だった。


 浴槽は檜でできていていい香りだ。底に四角い窓のようなものがあって、その上に座ると、ゆらゆらと湯が登ってくるのが判る。
 湯温は40度だそうで、子供にもちょうど良い。こちらは淵の浅くなっているところ以外はちょっと深く、レナでは背が立たなかった。
 無色透明。ほとんど味も香りも無い湯だが、肌触りは柔らかく、わりと温まる。湯の個性はあまり無いかもしれない。

 内湯にも入ってみた。温泉浴槽で泡風呂などもあった。
 ここで子供達の髪や体をごしごし洗う。家に帰り着く前に寝付いてしまってもこれで大丈夫。

 のんびりしていたので、もうお昼時。ここで昼食もとることにしよう。
 浴衣を着替えて館内のなべ茶屋へ。ここのお勧めの一つ峠の釜飯と、せっかく仙台に来たのだからと牛タンステーキを頼んだ。


 コレ何? 食べてもいい?
 牛タンにかぶりつくレナ(撮影者 カナ)。
 釜飯は時間がかかりますと言われた。なんと席で火をつけて炊くのだった。


 一の坊 ロビーにて。

 ここを出たら、もう高速に乗って真っ直ぐ帰るんだよ。
 旅はおしまい。明日からは日常が待っている。
 次の旅に行かれるのは何時だろうね。
 楽しかった?
 カナ4才、レナ2才の夏はもう今年しかない。来年にはもう少し大きくなるからね。
 空の青さや祭囃子、どーんと鳴った花火の音。大きくなっても何か憶えているだろうか。

 外に出るとさっきまで陽が射していたのはどこへやら。
 堰を切ったように大雨が降っていた。

おしまい


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