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◆◇四万温泉・積善館の休日◇◆

2.古く良き温泉と新しく良き温泉






 起きたらまずは朝風呂。
 外のお風呂に入るには、まず宿の方にボイラーの準備をしてもらわないとならないが、カフェの方の入り口のドアを出入りするとチャイムが鳴って出入りのあったことを知らせてくれるので、それでカウンターに来てもらえる。
 それに既に朝風呂を使うことは想定内だったようで、朝からご主人は準備してくれていた。

 湯端温泉の外のお風呂は、その名称とは裏腹にどちらかというと開放感のない隠れ家的な浴室だ。
 ここに朝から入っていると、普通の旅館の大浴場や露天風呂で朝風呂するのとは違って、何か仕事をさぼって朝から風呂に入っているような罪悪感を感じないでもない。
 まあしょうがないよね。
 今回の旅行は特に子供たちに内緒で来たんだしね。
 たまには大人旅もいいよね。







 湯口から竹筒を伝ってたらたらと流れてくる重くしょっぱい湯が増えたような気がした。
 いや、気のせいではない。昨日より湯量が多い。

 昨日は週末を控えてあまりたくさんは出せないけどって言っていたけど、今朝は出血大サービスだ。
 湯というには冷たすぎる源泉は、すべすべと指の間をすりぬける。
 竹筒から落ちる源泉を受けている三波石の形が微妙なのか、源泉は一部しか浴槽に入らず、残りは赤御影の浴槽の淵から外に伝って落ちそう。
 なんだかもったいないと手でダムを作ってみたりする。

 昨日いた四万温泉なんて、高温の湯だけは捨てるほどに豊富にあったもんなぁ。
 なんとも対照的。





 湯端温泉で朝食。
 こちらは基本的に素泊まりの宿ではあるが、オプションでお願いすれば簡単な朝食を付けてもらえる。
 昨日朝食について相談させていただいたところ、そのようなお返事で、今朝は焼き鮭、納豆、卵などの和食朝食をいただいた。
 まだ眠たい横顔に差し込む朝の日差し。

 食べ終えたら急いで帰り支度。
 子供たちがそれぞれ帰ってくる前に何食わぬ顔で出迎えないと。
 急げ急げ。

 最終日、とにかく帰るだけになってしまうと旅行記も味気なくなりがちだが、そこは昨日、一昨日の記憶を反芻して凌ごう。
 積善館の古い建物、浴室、ぎしりと鳴る木の感触。
 花火を待つ榛名湖畔の喧騒と、日常の続きのような吉井の湯端温泉。
 朝にはミンミンゼミが鳴き、夕にはヒグラシが鳴く。
 夏の強い日差しが緑の田に降り注ぎ、風が稲の葉を揺らす。
 またきっと来るからとつぶやき、私は車のドアを閉める。



おしまい


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