7.榛名湖は花火大会
郷原からの登り道はあまりにも見慣れた道。
榛名山を登る道は数多くあるけれど、一番多く使ったのがこのルートのはずだ。
榛名湖の宿に泊まって、連日群馬北部の温泉に日帰りで繰り出して、草津、四万は言うに及ばず、川原湯、浅間隠し、吾妻川沿いのセンター系日帰り温泉・・・。全部起点は榛名湖だった。
寒い季節が多かったから雪道のこともあった。
榛名湖が自分たちのもうひとつの家のようであったあの頃。
何度も通ったあの頃と、もう車も違うし今回は子供たちすら連れていない。
時間は流れ、流れ流れて、ひとつとして同じところには留まらない。
わくわくするような物悲しいような胸が痛くなるような懐かしい気持ち。
坂を登りつめるとカルデラ湖を一周する道に出る。
ちらちらと木立の間から湖面が見える道を時計回りに半周。
・・・やけに道と湖の間のスペースにレジャーシートとかタープが目立つな。何かあるんだろうか。
その理由は榛名湖温泉のある
ゆうすげ元湯と
レークサイドゆうすげの建つあたりまで来てようやく判った。
ゆうすげ元湯の看板の下に、「榛名の祭り花火大会のため一方通行」という簡易看板が立てられていたのだ。
今夜はお祭りで榛名湖に花火が上がるのか。
それは知らなかった。
私たちは顔を見合わせる。
「泊まってっちゃう?」
なんともいい加減な何も予定のない旅だ。
宿泊日程すら・・・ああ、これはいつものことか。出発してから延長したことなんて何度もある。