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◇◆四万たむらの休日2◆◇

14.とんかつ屋あすなろ











 我が家では子供の就寝時間は9時と決まっている。まあ最近では9時にベッドに入れてもその後1時間ぐらい姉妹でぺちゃくちゃとおしゃべりしている日もあるが。
 そろそろ子どもたちの寝る準備をさせようと思っていた。
 もうお風呂上がりにパジャマ代わりの服に着替えさせているし、布団も敷かれている。後は歯を磨くだけだ。
 「今、歯磨きを済ませたら、後は好きなだけ起きていてもいいから。というか、寝たくなったら寝れば良い」
 旅行の時は規律も弛む。お友達と一緒の夜だし、とりあえず好きなだけ遊ばせようと思っていた。
 「とにかく歯を磨こう」
 「は~い」
 歯磨きセットを出し、コップに水を入れる。子供部屋に洗面設備がついていないのは仕方ない。廊下の水道で磨かせる。
 子どもたちの寝る準備が整ったら、私は行きたい場所があった。
 前々から四万に来る度にyuko_nekoさんとがっちゃんが飲みに行くという店「あすなろ」にちょっと連れていってもらおうと思っていた。

 あすなろはたむらの坂を下って積善館の前を通り、さらに荻橋近くまで歩いて、橋よりはちょっと手前。土産物屋の高田屋とバス停の間の引っ込んだ所にある。
 一応トンカツ屋ということになっているようだが、yuko_nekoさんたちの話を聞いていると飲み屋のイメージの方が強い。
 ラーメンなども置いているが、何でも息子さんは本格的な中華の勉強をした人だそうで、料理全般侮れない美味しさなのだとか。
 味以上に聞こえてくるのはあすなろマスターの人柄のウワサ。
 エンジンが掛かっちゃうと飲めや飲めやであのyuko_nekoさんすらつぶれるまで帰れないという。
 だからぜひとも四万に泊まる機会があれば寄りたいと思っていた。
 あすなろ・・・いったいどんな店?





 「いらっしゃーい」
 カウンターの中で出迎えてくれたマスターは、yuko_nekoさんたちの話を聞いてイメージしていたよりインテリな雰囲気の小柄な人だった。
 もうすっかり顔なじみのがっちゃんたちはにやにやしている。
 店はまだ空いていて、私たちは適当な席に座った。
 「ここのソテーが旨いんだよ」とがっちゃんが言うのでまずはソテーを注文する。
 やってきたメンバーはyuko_nekoさん、がっちゃん、えんぴつさん、くららさん、そして私。
 早速yuko_nekoさんたちがマスターに「秘蔵のあれをちょうだい」と言う。
 秘蔵のあれ、とは、メニューでも裏メニューでもなく、うこんの錠剤のこと。事前に探したyuko_nekoさんはついに四万温泉の薬局で手に入れられなかったらしい。
 しょうがないなーとマスターは錠剤を出した。
 「これしかないよ」
 三人分。
 既にドリンク剤のうこんを飲んでいたyuko_nekoさんとがっちゃんは私たちにその錠剤を譲ってくれた。
 「これを飲むと翌日、楽だよー」
 そんなに効くのかと私も飲ませてもらった。ごっくん。
 なんか怪しいクスリでも取り引きしているみたいだな。
 「錠剤はあれしかないけど」と、マスターはうこん酒も作ってyuko_nekoさんの前に置いた。

 ソテーが来るとくららさんがワインが飲みたいと言い出した。
 「そうだよね、これにはワインが合いそうだよね」とyuko_nekoさん。マスターにワインは無いか聞いてみる。
 「無いよ」
 そこをなんとか。
 マスターは探して一本持ってきた。
 もしかしたら自宅用だったかもしれない。
 「これでもよけりゃ」
 もうまったく我々は我が儘な客だった。みんなでワインを飲みながらソテーをつまむ。
 いつの間にか次々とお客さんが入ってきて、見回すと店内はほぼ満席になっていた。








1-15メルヘンな温泉?へ続く


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