◆紅葉の湯田中渋温泉郷　湯けぶりウォーク◆2-3

3.上れ石段、高薬師

　スタートまでが長かったせいか、歩き始めてすぐにカナがぐずぐず言い出した。
　もうやめてよね、こんなところで。
　あなたが楽しくないって言うと、みんな楽しくなくなるでしょ。
　安代大湯の文字を確かめ、昨日柄杓で温泉の味見をした観音様の足下にいるのが魚であることを知り、それから渋大湯の上にある足湯までやってきた。ここの足湯の名前も問題になっている。
　足湯前では温泉卵をラリー参加者に一つずつ配ってくれた。このコースでは温泉卵だが、他のコースでは温泉饅頭やりんごをコース上でサービスしてくれると言っていた。
　さらに観光課の職員とおぼしき係員が記念撮影も撮ってくれた。滅多に家族そろった写真は撮らないので、シャッター押しますよと言ってくれたことが嬉しかったりする。

　それから長い急な階段を上る。
　渋高薬師の参道だ。
　渋温泉九湯巡りをした後祈願成就のために訪れることで有名な場所だ。
　息を切らせながら登ると、渋温泉の古い町並みが足下に低くなってくる。
　この辺りからカナも機嫌を直して、どんどん先頭を歩くようになった。
　「高薬師」と問題用紙に回答を記載して、また階段を下りるのかと思えば指示書は右手の細い道を行くようになっている。こんなところにも道があるんだ。さすが路地裏コース。