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沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*

10.古宇利島の土地と橋と様々な思惑










 「最近はスローフードスローフードなんて健康志向でハーブとか人気だけど、我々沖縄の人からすると子供の頃から当たり前にこういう食生活だったからね。ハーブなんて知らずにハーブ食べていたからね。今更何を騒いでいるのっていう感じですよ。
 沖縄の人が長寿だって言われるのもその辺にあるんじゃないかなぁ。
 そうそう、マクドナルドとかね、有名なハンバーガーのチェーンもタピオカを製品化できないかって調査に来たことがあったよ。
 伊豆味にはコンビニが一軒もないのは知ってる?
 作らせないんですよ、地元の人が。コンビニはいらないって」
 森の宴のマスターは話し好きで、しかもなかなか話の内容が面白い。
 中でも一番興味深かったのは、古宇利島に関する話。
 「古宇利島の古宇利大橋、一昨年、屋我地島から古宇利島まで長い橋が架かったでしょ。あれ、おかしいと思わなかった? 何で屋我地島からなのか。だって屋我地島から橋を架けるより、本部半島の運天から橋を架ける方が近いんだよ」
 えっ、そうなんだ。言われてみれば妙な話だ。橋を架けるには莫大な費用が必要なんだから、普通は少しでも橋の長さは短くしたいはず。
 私たちは去年も一昨年も古宇利大橋を通って古宇利島を訪ねている。でも橋は屋我地島から架かっているので当然、本部半島より屋我地島の方が古宇利島への距離が近いのだと思っていた。
 「古宇利島には小学校しかないから、古宇利島の子どもたちは今帰仁村の中学校に通うのに、わざわざ名護市である屋我地島を通って遠回りして通学しているんだよ」
 古宇利島は今帰仁村で、屋我地島は名護市であることは知っていた。知ったときは妙な気がしたが、橋が架かる前に自治体の境界線が引かれたのだろうからと、自分の中ではそれで終わってしまった。
 名護市経由で沖縄本島と橋が繋がった今、まるで古宇利島は今帰仁村の飛び地のようになっている。
 だから古宇利島は今帰仁村の一部でありながら、名護市を通らないとアクセスするのが困難だ。以前は今帰仁村の運天から古宇利島までフェリーが運航していたが、古宇利大橋の完成に従い、これは廃止された。
 「おかしいのはそれだけじゃないんだよ。橋が架かることが公になる前に、古宇利島の土地を買いあさったやつらがいるのさ。橋が架かることを知らなければ離島の山の中だよ、二束三文の土地だったよ」
 うわー、なんかやばい話だ。ありがちだけど許し難い。
 「知らないから島の人たちは土地を売ったね。二束三文でさ。それが今じゃえらい値段だ。島の人たちは騙されたんだよ。今じゃもう誰も土地を売らない」
 買ったのは誰だろう。沖縄本島の業者どころか本土の業者かもしれない。嫌らしい儲け方だ。
 それでも橋が架かったとて、古宇利島はウニ漁ぐらいしか無い地味な離島なのでは?
 「そもそも何で橋ができたのかさ。だって島の人はみんな橋が架かるのに反対したんだよ」
 えっ?
 島の人は橋が架かってほしいと思っていたわけではないの?
 橋が架かれば便利になるし、観光事業も進むかも。
 「違うよ。島の人たちは反対だったの。今までの暮らしが変わってしまうしね。今までは家に鍵なんて必要ないような暮らしだったんだよ。隣近所はみんな知っているし、おかしな奴らは島にはほとんどやってこない。それが橋が架かったとたん畑は荒らされるし犯罪の危険にもさらされる」
 じゃあなんで?
 「おかしいだろ? おかしいと思うでしょ? 実は古宇利島を含むあの辺りをいずれ大きな海洋公園として開発する計画があるんだよ」
 ・・・。
 それって・・・。
 それってつまり、いずれ古宇利島を観光地として大々的に売り出すことを前提に、利ざやを狙って安い土地を買いあさった業者、途中で落としていくお金を拾おうとわざわざ遠回りの島から橋を架けた名護市・・・そういうことなの。
 「あの何もない島に、今度は運天からも橋を架ける計画があるらしいよ。まったく二本も橋を架けてどうするんだか」
 運天から橋を架けたいのは今帰仁村だろう。でも屋我地島からの橋がある今、二本目の橋は税金の無駄遣いにしか思えない。
 「絶対おかしいっ」と私。
 「でも」とマスター。「こんな話はいっぱいあるって」










 さて、フーチバージューシーとタピオカチャンプルーは確かに量が多かった。
 小食な我が家では四人で二品で十分。
 カナはあまり食べなかったが、レナはタピオカチャンプルーが気に入ったようで結構食べていた。
 私もどちらかというとタピオカチャンプルーの方が気に入った。これ、なかなか面白い食感。何に似ていると言えばいいのかな。野菜が半透明のねっとりした澱粉質の物体に取り込まれているような感じ。ほの甘い。でもご飯ものとして許せる甘さの度合い。

 私たちが食べている間も、マスターはいろいろな話をしてくれた。
 ジュゴンが何故人魚と呼ばれるようになったかなど。
 私が遠目で人間に見えたから?と答えたら、ジュゴンのあの顔でそれは無いでしょうと笑われてしまった。
 「お母さんなら、判ってほしかったな。子供を抱いているスタイルが、授乳の様子に似ていたからなんですよ」
 へー。



左がフーチバージューシーで、右がタピオカチャンプルー



6-11今帰仁の駅そ~れへ続く


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