沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*
畳屋さん一族のグループは、畳屋さんのおじさんが仕事に行った後も変わらずわいわいと飲んでいた。
グループにも何人も子供連れがいた。
ちなみに畳屋のおじさんの孫娘もいて、おじさんとあまり年の違わないパパは、おじさんに自分の娘とあまり年の違わない孫娘がいることに衝撃を受けていた。
それはさておき、グループにはわんぱくざかりの小学生の男の子もいた。
彼はなんと海からハリセンボンを捕まえてきた。
「すごーい」と、同じグループにいた幼稚園生から小学校低学年の女の子たちが集まってきて、彼はちょっとしたヒーローになっていた。
「こんなのもあるぜ」
彼はさらにポケットから小さな黒い魚を出した。
「どうやって捕まえたの?」と私が聞くと、
「えっ」と私の方を見上げて得意そうに「泳ぎながら手で掴むんだよ」と彼は教えてくれた。
沖縄の小学生はワイルドだなー。
ちっちゃな女の子たちは目を輝かせて男の子とハリセンボンを囲んでいる。
男の子がハリセンボンをつつくと、プワーッとハリセンボンが膨らんだ。
「うわー」
みんなでおそるおそるハリセンボンに触る。
これはうちの娘たちも喜びそうだと思って、ちょうどレナが海からこちらを見ていたので手を振って呼んでみた。
レナは「なぁにー」とやってきて、ハリセンボンを見るとすぐに姉を呼びに行った。
カナもレナも初めて見る生きたハリセンボンに目が釘付けになった。
少ししぼんでくるとまた誰かがつつく。するとハリセンボンは慌てて風船みたいに膨らむ。
しぼむときは口から水を出す。
顔がとっても可愛い。
レナはそっと針に触ってみて、意外に柔らかいと感想をもらした。
男の子のお母さんが「いらないから戻しておいで」と言った。
ハリセンボンは沖縄ではアバサーと呼ばれ汁物にされるようだが、このハリセンボンは小さいし、調理する気がなければ使い道がないのだろう。
男の子は素直に海に戻しに行った。
カナもレナもその後に付いていって、放たれたハリセンボンが始めは浮いて、それからぷくんと沈んで泳いでいくのを見届けた。
それで終われば良かったのだが、このハリセンボンには可哀想な結末が待っていた。
逃がしたのがクラゲ除けネットの中だったので、結局他の男の子たちに捕らえられ、さんざんもてあそばれたあげく死んでしまい、私たちのレジャーシートのすぐ横に捨てられてしまった。
あっと言う間に砂にまみれて蟻が寄ってきた。
カナはその一部始終を見てしまい、レナに教えるとレナは泣き出した。
男の子がネットの中に逃がしたということは、最初捕まえたのもネットの中だったんだろう。一度捕まえられたから既に二度目は弱り切っていたに違いない。
ネットの中に迷い込んでしまった時点で、もうそのハリセンボンの運命は決まってしまったわけだ。