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沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*

8.恐るべし沖縄のビーチパーティー










 畳屋のおじさんはうちのパパと意気投合したようだ。
 というか、パパはすっかり畳屋さんのペースに巻き込まれっぱなしだった。
 ビールを勧めたら、数本の冷えたビールになって返ってくる。
 昨日は滝に行こうとして迷ったという話をすれば、おじさんの昔話、名護の昔話、沖縄の昔話、どんどん出てくるわ出てくるわ。
 「こないだの台風は凄かったさー。沖縄では台風は珍しくないと思うでしょー? でもいつも直撃するわけじゃないからさー。今回は台風の目にすっぽりはまったよ。雨も風も止んで日が射したさ。でもこういうときが一番あぶね。昔から台風の後は海行ったらいけないって教えられたさ。台風の目の前より後ろの方が風が強くてあぶないんだよ。沖へ沖へ流されるし」
 おじさん曰く、今年の夏は異常気象だと言う。
 私たちなんかにしたら、夏の沖縄は暑くて当然と思うが、沖縄の人にとっても今年の夏は暑すぎるんだそうだ。
 た、確かに・・・。
 日向はもちろん、パラソルの下に隠れていてもあまりの暑さに頭がくらくらしてきた。
 マンゴーだのシークワーサーだのが入った缶チューハイをクーラーボックスから出しても、飲みきる前にぬるま湯になってしまう。
 辺りの空気自体が既に体温より高い感じ。
 はっきり言って、夕方からならともかく、こんな日にまっぴるまからビーチパーティーするなんて、正気の沙汰じゃない。いや、マジで。









 パパがトイレに立った。
 しばらく戻ってこない。
 畳屋さんが心配しだした。
 ようやくパパは戻ってきたが、今度は子どもたちの様子を見に行ってくると、ふらふらとビーチの方へ行ってしまった。
 私と畳屋さんが残される。
 畳屋さんは本当は今日の午後から仕事なんだそうだが、まだもう少しまだもう少しと飲み続けている。最初からハイトーンだったが、いくら飲んでも別に変わった様子は無い。
 「パパ、飲み過ぎてましたよね」
 「だね」
 パパはお酒は決して弱くは無いが、たまにアウトドアで飲み過ぎることがある。
 しばらく畳屋さんと話をしていたが、流石に心配になったのでビーチへ行くことにした。

 パパは放心したように波打ち際に座っていた。
 「大丈夫?」
 「・・・駄目」そして、「畳屋さんは?」
 「ん、帰ったよ。流石にそろそろ仕事に行かなくちゃって言っていた」
 あれだけ飲みまくった後に仕事をするっていうのも凄いが。さすが沖縄だ。
 「それにしても沖縄の人と飲み比べて勝てるわけないでしょーが」
 「別に勝負したわけじゃないよ」

 それからパパはレジャーシートに戻って横になったが、暑すぎるので車に行って寝ると言い出した。
 「どうぞ」
 「一時間ぐらい寝たら戻って来るから」
 そうは言ったものの、パパは冷房を効かせた駐車場の車の中で熟睡し、3時間後に起こしに行くまでまったく目を覚まさなかった。
 子どもたちはいったん海から上がって着替えていたが、あまりの暑さにまた海に行くと言いだした。
 石のベンチの上に広げておいた水着は強い日差しを浴びてとっくに乾いていた。







5-9ハリセンボンへ続く


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