沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*

4.待ち受けていた罠

　パパがムッとした顔で立っている。
　「で、どこにクラゲ除けネットがあるの?」
　喜瀬ビーチパレスの正面には幸喜ビーチと同じような綺麗な白っぽいベージュの砂浜と、穏やかな水色の海が広がっていた。
　そしてさっきの沖縄サンコーストホテル前や、いつも行くグリーンフラッシュビーチのように、ブイとロープで遊泳エリアを区切ってある。
　「あ、あれは・・・ネットじゃないの?」
　「ネットじゃなくて単なるロープだと思うけど」
　うそー、だって確かに沖縄県福祉保健部が作成したパンフレットには「喜瀬ビーチにはクラゲ除けネットが設置してある」っていう内容が載っていたよ。ここが間違いなく喜瀬ビーチだったら、クラゲ除けネットがあるはず。
　私はパニックした。
　なんで?
　どうして?

　遊泳エリア内では、喜瀬ビーチパレス宿泊者とおぼしき海水浴客たちがけっこう泳いでいた。家族連れも多い。ビーチパレスの建物周辺にも、ハブクラゲに注意といった表示が見られる。目立つところにハブクラゲ対策の酢を収納してあるボックスが置かれていた。
　みんなは喜瀬ビーチパレスの準備したパラソルを使うようで、自前のパラソルを抱えてきた私たちは浮いているように見える。
　きょろきょろと辺りを見回した私は、階段を上ったところでマリンプログラムを受け付けている日に焼けたスタッフに聞いてみようと思い当たった。

　「あのー」
　「はい?」
　スタッフは暇そうだった。
　「喜瀬ビーチにクラゲ除けネットがあると聞いてわざわざやってきたんですが・・・」
　スタッフたちは顔を見合わせた。
　「・・・いや、あのですね、実はこれから設置するんですよ」
　なにぃ!?
　「実はネットはそこにあるんですけどね」
　えっと足下を見ると、まるめてある緑色のネットが目に入った。
　「いやその、これから設置するといっても、今日っていうわけじゃないんですけどね」
　あのね～。
　頭の何処かがプスッと小さく噴火したような気がする。
　既に夏休みに入っているっていうのに、既にクラゲシーズンに突入しているっていうのに(カナなんて刺されたんだし)、いったい今クラゲ除けネットを設置しないで、いつ設置するつもりだ!!

　でも噴火しても顔には表さなかった(つもり)。
　「・・・そうですか」
　他に何と答えようがある?
　三日前にクラゲに刺されて、わざわざクラゲ除けネットが設置されているはずのビーチを調べて、炎天下、歩きにくい砂の上をはるばる歩いてここまで来たのに、クラゲ除けネットはあるけど設置してないですなんて言われて。

　もう今回の沖縄旅行は散々。
　次から次へと不幸に見舞われる感じ。
　何かに祟られているんじゃないのか!?