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沖縄・子連れで体験旅行!
*子連れ沖縄旅行記3*

8.ハブクラゲとSafe Sea










 一通りカルテの記載が終わると、医師の待つ隣の部屋に案内された。
 てきぱきとした看護士と対照的に男性の医師はおっとりしたタイプに見えた。
 「えーと、刺されたのはどこだっけ、崎本部? まだ今年はハブクラゲ、出ていないんじゃなかったっけ。可哀想に、運が悪いねぇ」
 ハブクラゲシーズンは7月からと思っていたが、地元ではむしろ8月が最盛期だという認識のようだった。
 「今年は例年になく暑いからハブクラゲの発生が早かったのかな」
 するとカナはこの辺りで第一号の被害者ということに?
 めちゃくちゃ不運な娘だこと。
 「で、いつから沖縄に来たの? えっ、昨日から? じゃ来たとたんに刺されちゃったわけね。本当に可哀想に」
 やたらと同情だけはされているようだ。
 「でももう痛くないでしょ? 傷はたいしたこと無かったよ」
 カナは小さく肯いた。
 そうか、もう痛くなかったのか。良かった。

 医師は看護士に指示して何か塗り薬を塗らせた。
 「今塗っている薬は一番強いお薬ね。ステロイド剤ね。あと念のため、チューブの塗り薬出すから。えーと、二本出しておくかな。そんなにいらないと思うけど念のため、ね。そっちは今塗っている薬ほど強くないから。あと痛み止めの飲み薬も出しておくから」
 「一日何回塗ればいいんですか? またどのくらいの期間塗ればいいんでしょう。飲み薬の方は痛んだときですよね?」
 「ああ、一日二回ぐらいかな。赤みが引くまででいいよ。二、三日でいいんじゃないかな。飲み薬は痛くなかったら飲まなくていいから。塗り薬も本当はそんなに沢山いらないと思うけど、余ったら虫さされにも効くからそれに使えばいいよ」
 な、なんかちょっと適当っぽい。
 でも二、三日で治ると聞いて安堵した。
 「お母さん、長ズボン、持ってきた? 夏の沖縄に旅行に来たんじゃ持ってきてないか」
 「・・・持ってきていません」
 「あのね、ステロイド剤は色素沈着するんでね、日焼けすると色が残るから・・・えーと、ガーゼ貼ってあげるか・・・」
 看護士がガーゼとテープを持ってきて、カナの足と手の甲の薬を塗ったところにガーゼを貼ってくれた。
 「本当は衣服で隠した方が確実なんだけどね」
 そんなに心配するほど色素沈着するものなのか。まあ沖縄の紫外線は東京の比では無いようだから。
 カナもだんだん安心して来たのかぼそぼそとしゃべり始めた。
 「何でクラゲ除けの日焼け止め塗っていたのに刺されたの?」
 看護士が、えっというようにカナの顔を見た。
 「いやね、塗っているとクラゲに刺されないっていうSafe Seaっていう日焼け止めがあるんですよ」
 医師も看護士もへーというように顔を見合わせた。
 「知ってました?」
 「いやー、知らない」
 「でもこれでクラゲ除け日焼け止めが効かないって判ったから・・・」
 「いやそんなことはないと思いますよ」
 えっ?
 意外なことに二人とも効果はあったんじゃないかと力説し始めた。
 「普通だったらハブクラゲに刺されたらこんなものじゃ済まないのよ」
 「そう、大声で泣き叫んで救急車じゃないと駄目なこともあるし。あなたの場合はほとんど毒が入っていないよ。その日焼け止めを塗っていたからこの程度で済んだんじゃないかなぁ」
 そうなのか。

 というわけで今回の件で判ったこと。
 クラゲ除け日焼け止めSafe Seaは効果がある。
 但し、これのみでクラゲの被害を完全に防ぐことはできない。
 とはいっても、実際に刺されたときに被害を軽減する効果は期待できそうだ。
 だからこれだけを過信するのは良くないが、備えておくだけのメリットはあると思う。


画像は去年の沖縄旅行記から クラゲ除け日焼け止めSafe Sea


 医師の診察が終わったところで、「ネットのあるところで泳がなかったの?」と看護士。
 「シュノーケルが目的だったので」
 なるほどというように彼女は私たちを見た。
 「確かにラッシュガードやマリンシューズを身につけているものね。でもさっきのポスターにも写真があったと思うけど、ガンガゼの針なんかはマリンシューズも突き通すから長靴とか、もっと底の厚い靴でないと防げないのよねぇ」
 溜息が出てきた。
 「まあ、お子さんたちがどうしてもって言うんじゃなければ、後はクラゲ除けネットの中でだけ泳ぐのね」
 はい。
 というか、もう二度とカナは海に入らないかもしれない。
 「ありがとうございました」



診察を終えたカナ



2-9薬が足りないへ続く


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