1.エイサーか鍾乳洞か
今回の旅行はも〜う大変だった。
去年、一昨年の子連れ沖縄旅行が万事ラッキーにことが運び、トラブルらしいトラブルも無かったのに対し、今回は次々と不運が押し寄せた感じだった。
なにしろ最大の事件はハブクラゲに刺されたことだ。
しかも沖縄に着いて翌朝、さあ泳ごうというそのときに。
青い珊瑚礁の海と白いビーチを求めてはるばる沖縄に飛んだのに、これまたとんだ災難(いや、洒落じゃなくて)。
ハブクラゲに刺された顛末。
また、その後の展開など織り交ぜて、今回も長〜い旅行記をお届けしたい。
海やビーチでなくても子連れで遊べる、私の目で見た沖縄観光情報などもあるかもね。
初日 2007年7月20日(金) |
パパが「今年の夏も沖縄に行くぞ」と言ったとき、耳を疑った私。
だって、沖縄に行くのはお金がかかる。
今年はゴールデンウィークに二年ぶりに11日間
ケアンズを訪ねるという予算的暴挙をおかしたばかり。我が家は決してお金持ちではないのだ。
「マイレージが家族四人分貯まった。飛行機代さえタダならば、どうせ沖縄の宿泊費用は近場のキャンプ場に行くのと大差ないし、ビーチに行くのにお金はかからないし、自炊だから食費は自宅で生活するのと同じ。むしろ安いかも」
な、なるほど・・・一理も二理もある。
ツアーで西海岸高級リゾートに泊まろうって言うんじゃなけりゃ、夏の沖縄、意外と安く済むのだ。とにかくネックになるのが飛行機代だけだから、これさえANAマイルで財布を傷めずに処理できればの話。
にわかマイラーとしても、沖縄行きはでかい。
羽田から国内線で片道1万5千マイル。これを最も有効に使えるのが夏の那覇行きだ。普通の航空券だと距離やシーズンによって料金に大きな差があるが、マイレージの場合一律だから。
正確には最もコストパフォーマンスが良いのは石垣島行きだと思うが、こちらは1日1便しかない。希望日が取れないリスクも少なくない。
ところが実はマイレージはまだ完全には貯まっていなかった。
マイルでの特典航空券予約は二ヶ月前同日から。
この日までにカウントされると思われたANAカードからの振り替えマイルはぎりぎり間に合わなかった。
どうする?
あとほんの数百マイル足りない。
たぶんカードからの振り替えも2、3日後には入るはずなのに。
かといって日程をずらすと夏休みに突入してマイルで予約できない可能性が高くなる。
ANAはカンタスなんかと違って、足りないマイルを現金購入できない。
今年の沖縄行きをまるまる諦めるか、それとも・・・?
7月20日金曜日。
本当なら小学校は1学期の終業式。
でも、ごめんなさいと学校は1日休ませてもらった。
朝は3時40分起床。
4時10分にはタクシーの中。
ターミナル駅から山手線始発に乗って、モノレールを乗り継ぎ5時20分には羽田空港に着いた。
そう、結局マイルは三人分。加えて子供一人分の正規往復航空券を購入して、私たち一家四人は今年も夏の沖縄へ向かっている。
メンバーはいつものパパ、ママ(私)、カナ(小学四年生)、レナ(小学二年生)の四人。
ところで夏のANA国内線と言えば子連れにはポケモン。
一昨年の旅行では、機内でミニ映画が上映されたりたまたまポケモンジェットに乗ることができたりとあったが、去年や今年は特に恩恵に与っていない。
せめても記念スタンプをと思えば用紙切れ。
朝からそれはないでしょう。
近くにいた係りのお姉さんに聞いても、ごめんなさいと言うばかり。
仕方なくパパが探し回って他のカウンターから2枚だけ残っていたのをゲットしてきた。
6時25分発の予定が10分遅れで6時35分発。
朝の羽田空港を離陸。
ぐんぐん高度を上げて・・・。
「あっ、海の上に大きな島、あれはどこだろう」
機内冊子の地図を開く。
どうやら大島らしい。
大島なら子供の頃に行ったことがある。船で、だけど。
そして上空から見る大島は、その奥に転々と他の島々を従えている。伊豆・小笠原海溝に沿って火山帯が伸びているのがよく判る。
凄い凄い、大島のそのまた向こうに浮かんでいる三宅島からもくもくと火山の煙がわき上がっているのがはっきりと見える。怖いくらいだ。
大島もまさに真上を通過すると、島の中央に三原山の頂と、まるで地球に開けた穴のような噴火口が見えている。
その後はもうしばらく太平洋。
奄美の島々が見えてくるまでは代わり映えのしない景色。
沖縄が近づいてくると海の色が変わるので判る。
沿岸に沿って珊瑚礁の海の色、ミントブルーになってくる。
飛行機は下降を始めた。
北西から沖縄本島に回り込む。
いつも美ら海水族館のある海洋博公園から眺めていた伊江島は、タッチューのイメージが強いからもっと起伏のある島のような気がしていたが、全体的には平板で、しかも上空から見ると驚くほど米軍基地の面積が広かった。
三日月型の小さな島は水納島。
いつも船で渡っていた透明な海と白いビーチがある。
工業地帯のような景色が近づいて、あっと言う間に私たちを乗せた飛行機は、那覇空港に滑り降りた。
機体の外に出たとたんに感じる熱気と湿度。
ああ、ここは真夏の沖縄。
那覇空港に着いてすぐ、カナがトイレに行きたいというのであっちだと指さした。
カナがトイレに行っている間にレナがポケモンスタンプの台を見つける。羽田空港とはスタンプの絵柄が違うようだ。
「やったー、パチリスだ。これも押して良い?」
「どうぞどうぞ」
羽田と違い那覇では台紙も十分用意してある。
レナがインクの位置がずれちゃったとぼやいたとき、カナが走って戻ってきた。
トイレが終わったのかと思えば、
「流し方が判らない〜」
・・・自動洗浄なんじゃないの?
「とにかく一緒に来て」
泣きそうな顔で訴える。
仕方ないので手を引っ張られるようにしてついていった。
「レナも行く」
レナもついてきた。
結局トイレは私の予想通り自動洗浄式だった。
なんのことはない。用を足し終えればどこも押さなくても流してくれる。
ついでにレナのトイレも済ませた。
ところがみんなのトイレが終わった段階でレナがバッグが無いと騒ぎ出した。
「ママに渡したよね?」
「渡されてません」
ママが持っているのは自分の荷物と、パパから預かったカナのバッグだけだ。
カナはトイレに行くときにパパに預けて、パパも席を外したときにそれをママに預けていたから。でも、レナのバッグはレナが自分で持っていたはずだ。
「トイレの中に忘れてきた?」
ううんとレナは首を振る。カナもトイレに着いた段階で既にレナのバッグは無かったと証言する。
それでも念のためもう一度使ったトイレの個室をのぞいてみた。やはり無い。
すると・・・
「ポケモンスタンプの所だ!」
やばい。
子どもたちのバッグの中にはポータブルゲーム機のニンテンドーDSが入っている。
というか、それしか入っていない。
バッグ自体がDS専用の物なのだ。機内やレンタカーでの移動中に大人しくさせておこうと持ってこさせたものだ。
ニンテンドーDSは手に入れるのに苦労した(苦労の詳細はこちらで→
ニンテンドーDS Lite販売の店を探せ)。
お金の問題もさることながら、もうあんなに探し回るのは嫌だぞ。
一度は壊れて修理にまで出したんだぞ。
探し回らなければ手に入らなかったということは、空港なんて場所に置き去りにすれば、二度と戻ってこない確率が高い。
ああ、やばいやばい、どうしよう。
旅の最初からこれかい。
レナにもう出てこない可能性が高いことを何度も言い含めた。
スタンプ台の所に向かって歩きながら、どうかそのまま残っていますようにと祈った。
・・・やっぱり無かった。
さっきまで子どもたちが群がっていたスタンプ台はがらんとして、スタンプと台紙の他は何も残されていなかった。
ああ、やられたー。
ゲーム機も、レナがゲームの中で今まで育ててきたポケモンも、全部おじゃん。
すっかり意気消沈して、諦め半分、スタンプ台のすぐ側にあったANAのカウンターに聞いてみた。
「あのう・・・このバッグと色違いの黒いバッグがこちらに届いていませんでしょうか」
「はい、これですね」
カウンターのお姉さんはにこやかにバッグを取り出した。
そ、それっ。
「それです」
良かった。
誰か親切な人が届けてくれたのだった。
中身のDSもソフトもそのままだった。
お姉さんにお礼を言って受け取った。
「今回は親切な人が届けてくれたからいいけど、いつでも出てくると思わないように。バッグは手から放さず必ず持っていなさい」
「・・・ママに預ける」
判った。預かる。
まったく着いた早々冷や冷やさせられる。
空港ではもうひと仕事。
沖縄にはクーポン付き無料冊子が多い。
空港出口に近い観光案内所に行ってこれらをチェック。
観光地図とか観光施設のリーフレットなどもあり、これらにも割引券が付いていることが多い。
今回、空港の観光案内所及びレンタカー営業所でゲットしたクーポン付き無料冊子は以下の通り。
- 楽島(tanoshima) 沖縄本島版
- アクティビティ・グルメ・宿泊・レンタカーの情報とクーポン、地図など。宿泊・レンタカーの割引も有るので当たればデカイ。那覇だけでなく北部にも強い。
- 沖縄便利帳 ゆくるポン
- グルメ・観光施設・アクティビティの情報とクーポン、地図など。サイズが小さいので携帯に便利。ガイドブックのような旅行基本情報も掲載。子連れに嬉しい観光体験情報が充実。
- るるぶfree 沖縄
- あのるるぶの無料版。アクティビティ・グルメ・ショップの情報とクーポン、地図など。るるぶを見慣れている人には読みやすい。
- Rikkaおきなわ 沖縄アクティブガイド
- クーポンではなくRikkaに電話で申し込んで予約し特典を受けるシステム。定番のマリンアクティビティ、グルメ関連の他、クルーズやゴルフにも強い。
- TABINCHU タビンチュ
- アクティビティ・グルメ・ショップ情報とクーポンなど。特にレストラン・居酒屋などが充実。
- YASA ヤサ
- グルメ情報とクーポン、地図。クーポンは那覇など中心部がほとんどだが、地図が異常に詳しい。まさに「車で沖縄、歩いて那覇市」のキャッチコピー通り。
- BB COM 沖縄ビービーコム
- グルメとビューティー情報とクーポン。どちらかというと女性向け、在住者向けっぽい。特集に観光情報も。
- OIS旅ナビ 沖縄本島版
- アクティビティやショップのクーポンが少し。サイズが小さくテーマがバラバラで広告がほとんどで読みにくいが、妙な場所のクーポンが混じっていたりするので意外性が。
- My Shop Style
- グルメ情報とクーポン。ビービーコム同様、女性向け&在住者向けっぽい。
- おきなわ屋 北谷・美浜クーポン&ガイド
- 土産物屋のおきなわ屋が独自に作っている冊子らしい。那覇のグルメ店や北谷の温泉テルメヴィラちゅらーゆの割引などもあって馬鹿にできない。
- 国際通りMAP
- 一枚物のリーフレットだが地図の他、国際通りにある店のクーポンも。
うーむ、沖縄のクーポン、奥が深いぞ。
とりあえず何も決まっていなければ全部もらっていくのが吉かも。但しすぐに内容をチェックしないと結局使えないことになるし、全部束にするとかなり重い。
個人的には楽島とゆくるポンにはかなりお世話になった。
楽島は後半三泊した今帰仁のなきじん海辺の自然学校の宿泊料金まで割引が効いたので凄く大きかった。
空港から外に出ると、各レンタカー会社のマイクロバスが待ちかまえている。
去年、一昨年はジャパレンのロングステイキャンペーンで借りたが、今年は同様のキャンペーンをやっていなかった。
仕方なく、我が家の日程や希望クラスで一番安そうだったマツダレンタカーで借りることにした。
トヨタや日産同様メーカーのレンタカー会社だけど、送迎に着たマイクロバスは吃驚するほどオンボロだった。座席にあちこち煙草の焼けこげなのか穴が開いているよ。
心配はしたものの、レンタカーオフィスと貸し出された車はまともだった。
クーラーの利きすぎたオフィスは整頓してあり、係りの人が手続きを待っている子どもたちにパイナップルのキャンディーをくれた。
貸し出し手続きもさくさくと進んで、最初の行き先であるおきなわワールドもレンタカーオフィスの人がカーナビに入力してくれた。
そう、最初の行き先はおきなわワールド。
琉球村と並び沖縄本島最大のテーマパークだが、今まで行ったことがなかった。
いつも北部に真っ直ぐ車を走らせてしまうことと、あまりテーマパークを重視していなかったことがその理由。
テーマパークよりも海か景色の良い場所に行きがちだったから。
今回改めておきなわワールドを訪ねようと思ったのは、カナが春に行われた小学校の運動会でエイサーを踊ったことが大きい。
カナはもともと歌やダンスが好きなので、エイサーを踊るにあたってエイサーに興味を持っていた。
そんなカナに本場のエイサーを見せてあげたい。
ちょうど私たちの滞在中に北谷で第43回 青年ふるさとエイサー祭り・第5回
全国エイサーフェスティバルというイベントが行われるのだが、流石にそれを見に出かけるのはいろいろと大変そうだったので、もう少しお手軽にテーマパークのエイサーショーを見ることにした。
テーマパークのエイサーと言えばおきなわワールドか琉球村。
琉球村は一昨年行ったことがあるのでおきなわワールドの方を選んでみた。
おきなわワールドのエイサーショーはスーパーエイサーと銘打って、一日4回、毎日公演。しかも太っ腹なことに入場料を払わなくても観覧できるようになっている。
一度、名護や今帰仁のある北部に向かって車を走らせてしまえば、もう帰着日まで南部には戻ってこないかもしれない。
だからおきなわワールドに寄るのは初日と決めていた。
パパは那覇の牧志公設市場にも寄りたかったようだが、いろいろ考えて空港から真っ直ぐおきなわワールドを目指すことにした。
私たちはつい2ヶ月半ほど前に
オーストラリアのケアンズを訪ねた。
沖縄もケアンズも海の中は透明で珊瑚があり熱帯魚が泳いでいるところは似ている。道ばたのさとうきび畑、羊歯の茂る亜熱帯の森やマングローブにも共通点がある。でもケアンズの中心部を離れれば恐ろしいほどの広さを感じるオーストラリアと違って、沖縄本島南部の道は、ごちゃごちゃとして狭い。そしてどこか昭和の時代で時間が停まっているような懐かしさと侘びしさがある。
流石にメジャーな観光地だけあって、道々曲がり角には必ず「おきなわワールド」の表示板があって迷わない。
空はよく晴れていて白い雲がぽかりぽかりと浮かんでいる。
絵に描いたような夏の空。
ただ、例年にも増して大気中の水蒸気が多いのか、どことなく霞んでいる。抜けるような真っ青な空ではなく、春霞のようなうすぼんやりとした水色の空。写真写りはいまひとつ。
南城市のおきなわワールドに着いたのは10時20分。
オープンは9時からと早いので心配ない。
広い駐車場にはぽつぽつと車が停まっている。
車から降りると死ぬほど暑い。
さて、おきなわワールドは料金体系によって四つのエリアに分けられる。
1.無料エリア レストラン、土産物店、エイサー広場がこれに含まれる
2.王国村 琉球王国城下町を模した各種体験工房など
3.玉泉洞 大鍾乳洞 東洋一美しいとのふれこみ
4.ハブ博物公園 ハブの展示とショー、毒無しヘビを巻いての記念撮影も可
これらを組み合わせて入園料金を払うが、玉泉洞だけは王国村とセットでしか受け付けない。
つまり、
王国村のみ 大人600円 小人300円
ハブ博物公園のみ 大人600円 小人300円
王国村とハブ博物公園 大人1,100円 小人550円
王国村と玉泉洞 大人1,200円 小人600円
全部見て回れるフリーパス 大人1,600円 小人800円
我が家はヘビ巻は
オーストラリアで何度か経験があるし、取りたててハブを見たいとは思わなかったので王国村と玉泉洞のセットを選んだ。
本当はエイサーと玉泉洞だけでいいと思っていたのだが、その料金設定は無かったので。
後から思えばせっかく王国村に行ったのだから、ここでも何か一つぐらい体験してみれば良かった。
このときはまだ、今回の旅が体験旅行というテーマになるとは思いもしなかった。
入り口を入ると出迎えてくれたのは耳をつんざく蝉の大合唱。
こんなに五月蠅いんだから姿も見えるかもと思って近くの木を見上げたがよく判らない。じっと見ていると何かが飛んだ。その後を目で追ったらびっくり。木の幹に沢山の蝉がとまっているのに気が付いた。
もう蝉だらけ。
少し進むと南都丸と横腹に書かれた琉球古船が展示されている。
南都というのはおきなわワールドの運営会社だ。
南都丸の向かいに土産物屋が入った赤瓦の大きな建物。
おきなわワールドに入園する早々暑い暑いとだれていた子どもたちも冷房の効いた室内で一息ついた。
店内はかなり広く、土産物がいっぱい。イメージ的には土産物コーナーってテーマパークのラストに見る物のような気がするが仕方ない。
本来なら効率よく回るためには、先に入り口入ってすぐ左手の玉泉洞に入り、それから園内を歩いて戻って来るべきなのだが、とにかく一日四回開催のスーパーエイサーあと30分で始まるので今回はそちらが優先。
Tシャツ、アクセサリー、沖縄限定のお菓子、シーサーの焼き物などいろいろ並んでいる。レナは琉球ガラスのアクセサリーが気になる様子。
土産物屋の2階はレストランになっていて、2階から王国村の方に直接続いている。
エイサー広場もこの辺りだ。
11時の回のエイサー開始までまだ30分あるのでパパは王国村の方を少し見てきたらどうかと提案したが、私は王国村は帰りにも通ることになるからそのときで良いんじゃないと却下した。何しろあまりに気温が高いので、うろうろ無駄に歩き回ると体力を消耗する。
「えっ、何で帰りに通るの?」
「・・・鍾乳洞の玉泉洞は、おきなわワールドの地下に伸びていて、その入り口はおきなわワールドの入り口の方にあったの。どちらにせよエイサーが終わったら鍾乳洞に入るでしょ? 出口は反対側だから、今度はそこから地上を通って戻ってこなくちゃ。そのときに嫌でも王国村を通過するわけ」
「そんな作りになっていたの?」
知らなかったのかい。
一応今日は平日なので、エイサーがそんなに混んでいるとは思わなかった。
でも広場に行くともう舞台に近い方の席はほとんど埋まっていた。全部学生。中学生ぐらいかな。みんなリュックを背負って、学校単位で見に来ているようだ。
そのうち幼稚園生のような子どもたちも現れた。こちらは遠足なのか、揃いのキャップを被っている。一般観光客はほんの少しだったが、全体としては大盛況だった。
この舞台でエイサーを披露してくれるのは真南風(まふぇかじ)というプロのダンサーたち。
エイサーの前に希望者を募って沖縄特有の楽器を教えてくれる。パーランクー(薄い小太鼓)ともうひとつ、三板(サンバ 三枚の板でできたカスタネット)の組に分かれて演奏の仕方などざっと習う。
カナやレナにもやるか聞いてみたが二人とも物怖じして手を挙げなかった。舞台に上がったのは全員前の方に座っていた中学生たちだった。
楽器体験が終わるといよいよダンスが始まる。
最初はおしとやかに宮廷舞踊。
それからおじいさんとおばあさんの仮面をかぶった踊り手と獅子が出てきて物語的に舞い踊る。
最後がオーソドックスなエイサーの衣装を付けた踊り手たちによるスーパーエイサー。
太鼓の音がどぉんどぉんと響き、暑い中全身を使って激しいパフォーマンスを繰り広げた。
確かに凄いなーかっこいいなーと思うが、やっぱり席が遠すぎた。これはぜひ最前列で迫力を目の当たりにしないと。
パパと子どもたちは暑さにグロッキーしたのかちょっと目がうつろになっていた。
ラストシーンはみんなで舞台に上がって踊る。あなたも私も。
あっ、パパは踊らなかったけど。
で、鍾乳洞に入る前に宝石探しのコーナーに行く。
エイサーの前からそこは気になっていたが、入場料一人500円だったので素通りしていたのだ。
エイサー中に、カナが自分の持っていたおきなわワールドのリーフレットに宝石探しの無料入場券が挟まっているのを見つけた。無料なら入ってみよう。
コーナーの外側をぐるりと囲んだ水槽の中に砂と小石と水が入っている。
この中から5分だか10分だかの制限時間内に隠されている宝石を探すのだ。
宝石と言っても水晶、クォーツ、めのう、ガーネットなどのいわゆる半貴石。それもアクセサリーに加工する価値のないものを集めてあるんだと思う。
無料券だと入場と探索はできるが、集めた石がほしければこれはお買いあげになるのだそうだ。
子どもたちはこういうのが大好きなので、レナは目を輝かせて、カナはちょっとふてくされていたが本心は興味津々で砂をかきわけ探し始めた。
最初はなかなか見つけられなくて、係りのおじさんが教えてくれたりした。
私はどうせ買うなら見つからない方がいいのかななどと思い始めた。子どもたちは見つけたら買ってというに決まっている。
カナは透明なのしか見つからないとぼやく。小さな水晶ばかり当たるらしい。
レナは私が見つけるとちゃっかりと「ちょうだい」と持っていく。カナはそれも面白くないらしく、私が見つけたものをわざわざカナに渡すといらないと砂の中に捨ててしまう。でも未練はあるようで私が見ていないときにこっそりとそれを掘り出して自分の椀にしまったりしていた。
最後に私が比較的大きな水晶を見つけた。これもカナがぶつぶつ言いながら自分の椀に入れた。
「いくらですか?」
おじさんは、「お椀ひとつで200円。でも相当お得だと思いますよ」とのこと。
「頂きます」
おじさんはカナとレナに小さなヘマタイトもひとつずつくれた。
「これは血のダイヤとも呼ばれていてお守りになるんだよ」
椀単位ならもうちょっと沢山探せば良かったかなと今更欲が出てきた。
私たちが楽しそうに宝石探しをしているのを見てなのか、中学生ぐらいの女の子二人が後から入ってきた。ちゃんとこちらは入場料を払ってのようだ。
「私のパンフレットに宝石探しの券が入っていたからできたんだよ」
はいはい。
まあ5枚に一枚ぐらいの確率だっておじさんが言っていたが、本人が喜んでいるならそれでいいや。
「私だから当たったんだよ」
確かにカナはいろんなものに当たる。
くじ引きで一番運が良いのはだいたいカナだ。
私も悪くない。
レナは普通。パパは悪い。
でも今回の旅行で、このカナの何でも当たる運の強さがアンラッキーをも呼び込んでしまったとは後から思えば可哀想な話だった。
またもや蝉がジージー五月蠅く鳴いている横を通り、今度は鍾乳洞の入り口へ。
昔、どこかで鍾乳洞二箇所ぐらい入ったことがあるなぁ。どこだったっけ。沖縄ではないと思う。
本部半島の辺りに行くと石灰岩のようなものを切り出しているし、辺戸岬まで行けば金剛石林山などの景観もある(あっ、金剛石林山もおきなわワールドと同じ南都の運営だ)。こういう地盤だと鍾乳洞も多そうな気がする。
地下に降りて、チケットを見せると、まず記念撮影。出口でできばえを見てから購入を決めれば良いと言われて一応ポーズだけ取る(結局買わなかったし)。
玉泉洞は日本で二番目に長い5キロにおよぶ大鍾乳洞。もちろん遊歩道を設けて公開されているのはそのほんの一部だ。
鍾乳洞の中に入ると気温が下がったことが判った。
地中の温度は年間を通してほぼ一定。
玉泉洞も年間平均気温によって多少上下するもののほぼ21度ぐらいを保っているらしい。
但し水の流れる洞内は湿気が籠もりひどく蒸している。33度か34度という地上から降りてきた今、確かに体感温度は下がったが、じめついて快適とはおよそ言い難い。
最初の階段を降りると、遊歩道が左右に分かれている。左を一周して、その後、右に進むのが順路のようだ。
名前の付いた鍾乳石やエリアはライトアップされてよく見えるようになっている。
遊歩道は鉄柵がついて安全に進めるようになっている。
ライトアップされているところ以外は少し薄暗い。
天井からも床からもにょきにょきと奇妙な形の生白い鍾乳石が生えている。
ときどきぽたりぽたりと水が垂れてくる。
あまりに水の多いところではビニールシートで屋根が作られている。
屋根にはときどき穴が開いていて、先頭を行くカナが「ここ注意」と教えてくれる。
子どもたちは探検気分。
歩く順序はカナ、レナ、パパかママ。
ときどきパパがレナやカナに追い付いたり抜かしたりすると、駄目と怒られる。カナは完全に探検隊の隊長のつもりだ。
見所のひとつ、槍天井は結構怖い。
映画だったらここでぐらぐらと地震が起きて天井から槍がぐさぐさと落ちてくるところ。
小さな滝があったり、四阿のようなものがあったりする。
脇を水が流れていて、よく見るとときどきエビや魚の姿が見える。これら鍾乳洞の中に生息する生き物は、ずっと一生この暗闇で過ごすんだろうか。
脇道のようなものもある。
一般公開されていない洞がずっとこの奥に続いているんだろう。
青の泉はライトアップがとても綺麗。トルコのパムッカレみたいな感じだ。
黄金の盃はリムストーンダムという形状の巨大な鍾乳石で日本最大級だとか。
石灰で自然に固められたリュウキュウジカの化石などもある。
行程の最後の方に酒蔵があった。
年間を通じて温度変化の少ない洞内で、泡盛を寝かせて古酒にするというもの。盗難を防ぐためか檻のようなもので入り口がふさがれていて中はよく見えなかった。
結局、目的だったエイサーより鍾乳洞の方が子供受けが良かった。
外に出るとまたかんかんでり。猛烈に暑い。数分で目が回りそうになってきた。
玉泉洞出口はおきなわワールドの最奥にあるので、ここから地上を歩いて元来た場所まで戻らなくてはならない。
フルーツ園を通り、琉球ガラス工房やら陶器工房を横目で眺め、その他、王国村内のさまざまな体験工房を全て素通りして最初に入った土産物屋とレストランの建物まで戻ってきた。
途中、ちょっと光る泥だんご作りはちょっと気になった。
体験料600円。みがくとぴかぴかと光る不思議な泥だんごを作るらしい。面白そうだけど作った泥だんごで何かができるわけじゃないしなぁ。
冷房の効いた建物に入れるまでのしばらくの間は、もう駄目、暑い、疲れたを連発する子どもたちの口に、「元気のかけら」と称して試食の黒砂糖を入れると、しばらくは体力が回復する気がした。
おきなわワールドのレストランは、レストラン王国というひねりも何も無い名前が付いている。
メニューもまあ沖縄風だけど、いわゆる昔からの遊園地のレストランのように垢抜けない印象が拭えない。
それでも灼熱地獄から戻ってきた今、ひんやりした室内でゆっくり座れるだけで救われる気がした。
注文したのは沖縄そば定食とパパイヤイリチー。
注文を取りに来たお姉さんが強烈だ。注文を言った端から忘れている。
「えーと、それから飲み物は何でしたっけ」
さっき言ったでしょ。
「ふたつって、二つずつですか」
全部でふたつ。注文はひとつずつ。
「それで、ご注文はなんでしたっけ」
また最初から同じことを言えと!?
悪い人じゃないんだけど、日本語が分からないのかと思うくらい滅茶苦茶。でも胸の名札は沖縄風の名字だし、発音もちゃんとしている。新人なのかと思ったが、それにしても覇気がない。
つまり何というか、絵に描いたように「心ここにあらず」。
彼女がカウンターに戻っていったとき、本当に私たちが注文したものが間違いなく届くか心から心配になったほどだ。
結局彼女は1分と経たずにまた私たちの席にやってきた。
「もう一度、確認してもいいですか」
・・・大丈夫か? おい。
まあ注文では冷や冷やしたが、料理はとても美味しかった。
正直、こういったテーマパークレストランでは期待らしい期待もしていなかったのだが、良い方に裏切ってくれた。
但しパパはソバの具に入っていたよもぎに難儀していた。もう無理と言うのでよもぎは全て私が食べてしまった。よもぎは臭いはよく知っているけど食べたのは初めてかも。強力な味。よもぎの青臭い臭いを嗅ぐと、空き地や野原で走り回っていた子供の頃を思い出すなぁ。
午後1時10分。
たっぷり遊んだおきなわワールドを後にする。
出るときにこんなことがあった。
おきなわワールドの割引券は空港で手に入れたちらしにも、フリーのクーポン付き冊子にも、レンタカー会社のクーポンブックにも付いていたが、一番条件が良かったのがレンタカー会社のクーポンブックだった。
このクーポンだと、入園料の20パーセント割引プラス星の砂ボトルプレゼント。
ところが実際に入園の際に料金を払いに行ったのはパパで、パパはそのことを知らなかった。
どうもパパは星の砂をもらわなかったようだ。
なので退園の際に駄目元で聞いてみた。
するとお姉さん、「そのときのチケットはありますか?」
えーと、えーと、チケットはパパが玉泉洞に入る際に私の鞄から持っていってしまったような・・・。
ごそごそと探している私に、係りのお姉さんは「どうぞー」と気前よく人数分の星の砂ボトルを包んでくれた。
沖縄の人は優しいな。
おきなわワールドに行く前に寄ろうと思っていた牧志公設市場行きは、またまたキャンセルだ。思ったよりおきなわワールドで時間と体力を使ってしまったので、このまま真っ直ぐ高速に乗ることにした。
時々、先日の台風の恐ろしさをものがたるように、街路樹が傾いていたり倒れていたり。
ふと後部座席を見ると、朝の早かった子どもたちは既に熟睡。
でも何故かレナは幸せそうではなく、時々うなったり顔をしかめたりしている。どんな悪夢を見ていることやら。
沖縄本島は東北から南西に向けて伸びる細長い島で、このおよそ南西側半分を一本の高速道路が貫いている。
いつも名護へ向かうときはこの高速道路 沖縄自動車道で一気に終点の許田ICまで走ってしまう。だから私たちは途中の景色をあまり知らない。
途中にはぽつぽつと沖縄市の中乃湯や北谷のテルメヴィラちゅらーゆなど気になる温泉もあるのだが、なかなか立ち寄る機会がない。
そう言えば一昨年例外的に寄ることのできた
ルネッサンスリゾートオキナワの山田スパはこの7月から宿泊者専用に変わってしまったようで誠に残念だ。
東海岸の海、西海岸の海を高速道路から眺めながら、今回も許田まで真っ直ぐ走った。
許田からは海沿いの道。
左手に大きくカーブした湾が見えてくると、もうそこは沖縄本島北部唯一の大きな町、名護市。
名護の北は本部半島、そして辺戸岬までずっとやんばるの森が広がっている。
私たちの泊まるウィークリーマンションは名護の市内にある。
しかし宿泊手続きをするのはその先の本部半島にあるベルビューというゴルフ場のホテルだ。
だから予定では名護の21世紀の森ビーチで子どもたちと私を降ろし、パパ一人でレンタカーを運転してベルビューまで行くことにしていた。
でも朝の早かった子どもたちはまだぐっすりと眠っている。
またまた予定変更。
寝ているのなら黙ってこのままベルビューまで行ってしまおう。
去年だって寝ているのを無理矢理起こして21世紀の森ビーチで降ろしたら、レナなど30分以上泣きやまなかった。
名護の市街地を抜ければ、後は名護湾に沿って本部半島へ向かう道は快適だ。
真新しい道路はゆるやかにカーブして、等間隔に南国ムード溢れるアダンの木が植えられている。
左手にエメラルドグリーンとミントグリーンの入り交じった海。
日本離れした景観。
右手に聳える石灰岩切り出し山や、海沿いに見える巨大なテトラポット工場もここならではの見所だ。
ベルビューのちょっと手前に私たちのお気に入りのビーチがある。
グリーンフラッシュビーチといって、やんばるガラス工芸館グリーンフラッシュが併設されている。
駐車場もビーチ使用料も無料。
トイレや売店やバナナボートなどのアクティビティもある。
そして何より、シュノーケル可能な綺麗な海がある。
個人的には設備、コストパフォーマンス、アクセス、海の綺麗さなど全部ひっくるめて、この辺りのビーチでは特にお勧め。
今回の旅行でも一度は行くつもりでいる。
グリーンフラッシュビーチの手前、塩川パス亭のある辺りは、去年も一昨年も道路工事をしていたが、今年はついにグリーンフラッシュビーチやその隣のホテルオンザビーチルーの真ん前の道路まで工事中だった。
一応どちらも営業は続けているようだ。
ビーチまで行ってしまえば工事の音も聞こえないと思うが、いったい何時まで工事を続けるつもりなんだろう。
「この先には海洋博公園と美ら海水族館という一大観光地があるから渋滞緩和のために二車線にするつもりなんだろう」とパパ。
でも3年も工事し続けてこんなに進まないもの?
「沖縄だからじゃない? こう暑いと仕事をする気にならないだろうから」
そ、そういう問題か?
ベルビューでの手続きも無事終わり、3時15分にはまたさっきの名護に戻ってきた。
「真っ直ぐマンションに入る?」
「いや、21世紀の森に寄っていこう」
ところが、いつも使う21世紀の森ビーチに近い駐車場の入り口は閉鎖されていた。
不思議に思いながら、公園の外れにある別の入り口から入り、駐車場に車を停めた。
車から降りると暑い。
いやもう、じりじりと物凄く暑い。
寝起きで機嫌の悪い子どもたちと護岸工事された海を見ながら待っていると、ビーチの方の様子を見に行ってきたパパが戻ってきた。
ビーチの入り口だけでなく、ビーチ自体が閉鎖されているらしい。
どうやら先日直撃した台風の影響のようだ。
明日からは夏休みで観光客も増えるだろう。今日中に整備して明日から開けるのかもしれない。
どうせ今から海に入るのではなく、貝を拾ったりヤドカリと遊んだりしようと思っていただけなのだが、ビーチに行かれないのでは仕方ない。
私たちが車を停めた駐車場の近くに幼児用の遊具が見えた。
幼稚園とも公園ともつかないような場所で、隣に建物が建っている。
近づいてみるとそこは名護市児童センターだった。
子どもたちはブランコなどの遊具で少し遊んだが、日差しが殺人的なのであまり長くは日向にはいられなかった。
私が子どもたちを児童センターの庭で遊ばせている間、パパは今夜の夕食の買い出しに出かけた。
いつもの魚しん。
ここは鮮魚の小売りもしているし、食堂もあって食事もできる。
サザエと刺身と海ぶどうを買ってきた。
やっぱり夏の沖縄に来たら鮮度の良い海ぶどうだね。
3時45分、マンションに到着。
ここに泊まるのも三年目。もう勝手は分かっている。
海に面した7階の部屋。
リビング、キッチン、和室、シングルのベッドルームが二部屋、それから洗濯機のある洗面所と浴室とトイレ、小さいけどバルコニー。
去年は一昨年に私たちが残していったシャンプーやらラップやらがそのまま残っていたが、今年は私たちの記憶にあるものは何も残っていなかった。
去年私たちが買って置いていったパラソルも。
たぶん何度も使ううちに誰かが壊してしまったのではないかと思う。
そのかわり、前の宿泊者たちが置いていってくれたものか、調味料のたぐいはいろいろ残っていた。
というわけで、まずは近くのスーパーマーケットとディスカウントストアに必要なものを買いに行こう。
シャンプーリンスは私たちが置いていった物こそ残っていなかったが、元々備え付けの分があるし、タオル、バスタオルも完備している。
必要なものは食料とアルコール、そして今年のためのビーチパラソル。
まずはマンションの目の前にある大型ドラッグストアへ。
薬やビールも売っているがお目当ては米。目の前で精米して売ってくれる。
ところが精米担当者が留守にしているということで、何キロから売れるか判らないとレジ担当者は言う。うちは2キロが希望なんだけど。
とりあえず精米担当者が戻ったら携帯に連絡してもらうことにして、私たちは次の目的地、ディスカウントショップへ向かった。
北部商品流通センターBig-1という名前の店である。
キャッチフレーズは「よい品をいつも安く」。
倉庫のようにごった返したスペースで、去年もここでビーチパラソルを買った。
沖縄に旅行に来て、ビーチでビーチパラソルを借りる人は多くても、いきなりビーチパラソルを買っちゃう人はあんまりいないかもしれない。
でも瀬底ビーチで千円払って借りるよりは、ディスカウントストアで498円(去年は300円台だった)で買ってイチャンダ(無料)ビーチに行く方が絶対お得だと思う。
ライフジャケットも売っている。
悩む悩む。
私はシュノーケルするとき何か浮き具がほしい。とりあえず浮き輪だとかを使っているけど、使い勝手は悪いし万が一穴が開いたらと思うと怖くて仕方がない。
本来はシュノーケルするときにはライフジャケットをつけるべきなんだが、お値段の問題もさることながら、実物はあまりに嵩張って、スーツケースに入れて毎回持ち歩くのはあまりに大変そうだ。
「どうしようかなー・・・」
「買ってもいいよ」
「・・・でも嵩張るしー」
「買うなら旅行日程のうちで早いほうがいいから今日のうちだよ」
だよねぇ。でも・・・。
何度も悩んで売場の前を行ったり来たりしたが、結局決心はつかなかった。
何か予感がしたのかもしれない。
後から思えば買わなくて正解だったのだ。
このときは去年のように沖縄滞在中、毎日のようにビーチに行ってシュノーケルするつもりでいたが、実際は翌日のアクシデントによりシュノーケルする機会は皆無といってよい状況になってしまったから。
次の目的地はスーパーマーケットかねひで。
名護滞在中の行きつけ。
徒歩圏にあるので頼りになる。
まあ普通のスーパーで、特に沖縄らしいトロピカルフルーツなんて探すと、青森産のリンゴだとかカリフォルニア産のオレンジだとかしか売っていなくてがっかりするかもしれないが、「超激安モーウイ100g10円」だとか、「入荷しましたヒートゥ」だとか、「連日お買い得品 冷凍山羊肉(お汁用)」だとか、「1ガロン入りのフレンチマスタード」だとか、よくよく探すと県外者には目が丸くなるような品物がいっぱい。
もちろん出来立て島豆腐が置いてあるコーナーは要チェック。本州の豆腐とはずいぶんと違う。
ついでに何故か山ほどTimTamを積み上げて売っている。ここは
オーストラリアか?
名護に来るといつもここで食料品を買うので、いっそかねひでのポイントカードでも作ったろかという気になる。
レジで支払いをしていると携帯が鳴った。
ドラッグストアの精米担当者が戻ってきたようだ。機械の設定関係から残念ながら3キロからしか精米できないという。それでいいと伝えて帰りに寄ることにした。去年一昨年と違って今回は名護での滞在日数が短いので、2キロでも消費しきれるかと心配だったが致し方ない。
夕御飯のメニューは、魚しんで買ってきた刺身、サザエ、海ぶどう、かねひでで買ってきたゆし豆腐など。
窓から名護湾に沈む夕日が見える。
少し雲が多いが真っ赤な太陽がぶるぶる震えながら本部半島に沈んでいく。
まだ私たちは今回の旅が波瀾万丈になるとは知らない。
長い子連れ沖縄旅行は始まったばかり。