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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

12.親切や思いやりはみんなを回りみんなを幸せにする






 その後もカナとレナはしばらくターザンロープで遊んでいたが、そのうちにレナが「喉が渇いた。トイレに行きたい」と二つの欲求をいっぺんに伝えてきた。
 「トイレは階段の上にあった。飲み物は自販機が見つかったら買って上げる」
 へばっているレナをなだめたりすかしたりしながら石段を登らせていると、トイレから少し離れた東屋の下で、先ほどの幼稚園児たちが休憩しているのが見えた。

 レナがトイレに入っている間に、ターザンロープを担当していた年輩の男の先生が「お母さん、お母さん」と私のことを呼んだ。
 「二つ余っているのでお子さんにどうぞ。お母さんの分は無いんですけどね、ごめんなさい」
 「あ、ありがとうございます」
 渡してくれたのは、休憩中の園児たちが無心で吸っているチューチューだった。
 チューチューというのは、細長い透明プラスチック容器に入っているシロップで、凍らせてさきっぽを切り取り吸い出して食べるあれだ。私も子どもの頃、夏によく食べたのを覚えている。
 「なぁに? それ」とレナ。
 「先生がくれたの」
 炎天下の公園で、頂いたチューチューは持っている指が痛くなるほどよく冷えている。
 「カナのところに急ごう」
 「うん」





 ターザンロープの隣にあるベンチで一休み。
 カナもレナも夢中でチューチューを吸い始めた。
 暑かったし喉も渇いていたし、そりゃ嬉しかっただろう。
 「どうして先生はくれたのかな?」とカナ。
 「お休みの子が二人いて、それで余っちゃったのかな」とレナ。
 「・・・あっ、判った。最後に幼稚園の子に先に譲ってあげたからだ」と、自分なりの答えを見つけたカナ。
 自分がしてほしくないことを他人にしないように、そして他人に良いことをしてあげれば、いずれ自分に返ってくる。
 親切や思いやりはみんなを回り、みんなを幸せにする。
 ときおり涼しい風が吹き抜ける。
 高台にある名護城址公園から見下ろす景色は森と町と青い海だ。
 風に乗ってどこからか時刻を知らせる学校のチャイムの音が響いてきた。








5-13オリオンビール工場見学へ続く


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