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海とビーチと
*子連れ沖縄旅行記*

16.サーターアンダギーと涙






 さて、私たちの泊まる名護のマンション、ウィンベル沖縄名護コーラルシーは、別に宿泊者専用の貸しマンションというわけではない。
 名護の更に先、車で20分ほどの距離にあるゴルフ&マリンリゾート・ホテルベルビューがそのうち一室(もしくは数室)を貸し出しているだけで、残りの部屋は分譲されて普通に住んでいる人たちがいる。
 チェックイン手続きは本部町にあるホテルベルビューで行う。
 マンションのある名護から往復するだけで40分以上かかるから、パパは自分一人で行くことを提案した。
 「その間、子どもたちは21世紀の森公園で遊ばせておけばいいよ。ビーチで貝を拾うとか」
 「レナはまだ寝ているけど、起こすの?」
 「その方がいいだろう」
 しかしレナはいつも寝起きが悪い。
 このときも滅茶苦茶だった。
 ぐずぐず言って車を降りようとしない。
 「お腹空いたならこれ食べる?」
 座席に置いてあったさっきのサーターアンダギー詰め合わせの袋を渡そうとすると、今度はカナが慌てた。
 「最後の一個が食べきれなくて食べかけなの」
 最悪のパターンだった。
 レナが起きるまでにカナが全部食べたなら証拠が残らないし、一つでも残っていればそれをレナに食べさせようと思っていたのだが、残っていたのは一口かじった跡のあるサーターアンダギー一個だった。
 「食べかけは嫌だー」とレナが絶叫する。
 とにかくどうにか泣き続けるレナを下ろして、パパには一人、ホテルベルビューへ向かってもらうことにした。


左前方に見える町並みが名護だ



 21世紀の森公園は北海道日本ハムファイターズのキャンプ地としても知られている。
 名護市内の中心地近くにあり、綺麗な人工ビーチが広がっている。
 なまじ町中にあるので、観光客率が低い。駐車場の車の主も泳いでいる人もほとんどが地元民だ。
 ビーチは安全重視のためシュノーケル禁止なのが残念だが、それでもアコモから近いので去年は何度も通った。
 だからどこに何があるのか大体勝手が分かっている。
 カナと一緒に泣き続けるレナの手を引いてビーチの売店に向かった。
 さーたーあんだぎーならどこの店でも手に入るんじゃないかと思ったから。
 ところが売店で売っていたのはアメリカンドッグぐらい。レナが食べたがるようなものは無かった。
 レナは益々ぎゃあぎゃあと泣き始めた。
 無いものは仕方がないので売店で買うことは諦めてビーチの方に行ってみた。
 たぶんお腹は空いているので、機嫌さえ悪くなければアメリカンドッグを食べるのだ。
 彼女はサーターアンダギーが姉の食べかけなのが気に入らないのだ。
 食べかけでない新しいサーターアンダギーがほしいと言う。
 あれも嫌、これも嫌。でも手に入らないものはどうしてもほしい。
 夕方だけど日差しはまだまだ強い。
 ビーチの片隅で、自分で諦められるまで泣いているしかないか。




21世紀の森公園




1-17だから泣かないでへ続く


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