◇◆野沢温泉&子連れスキー旅◆◇
8.ナウマンゾウ博物館
雪はどんどん激しくなるし、湖畔の道は人通りもほとんどない。
雪が積もっているばかりで車の一台も停まっていないような町営駐車場の隣にブルーレイクホテルというこれまた無人に見えるホテルが見えた辺りでいったん車を停めて、次の手立てを考えることにした。
「・・・こうしていてもらちがあかない。ナウマンゾウ博物館で情報を収集しよう」
車をバックさせ、先ほどの看板に従ってナウマンゾウ博物館へ移動する。
博物館は褐色の建物で、屋根を斜めに切り落とした直線的な形状をしていた。
駐車場に車を停めて車外へ出ると、普通の革靴で出たのが後悔されるような雪の深さだった。
入り口は2階だったので、まだ降って間もないのでふわふわしている雪を踏みしめて階段を上るが、もう階段の段が解らないほど雪が積もっている。
うう、寒いと手をこすり合わせながら中に入ると、チケットカウンターの手前に質素な土産物スペースがあり、そこまでなら入館料を払わなくても入れるようだった。
せっかく野尻湖まで来たのだからナウマンゾウにも興味があるが、今はとにかく屋形船。
きょろきょろと見回すと、入り口の近くに観光パンフレットが置いてあった。パパはそれを一部手に取り広げると、すぐに目的の箇所を見つけたようだ。
いったん外に出る。
入り口前のフロアーは屋根こそついているが吹きさらしだ。
そこでパパは携帯電話を取り出し、目的の電話番号を確認した。
それは信濃町役場産業観光課が作っているリーフレットで黒姫やタングラムの宣伝とともに冬の野尻湖ワカサギ釣り屋形船一覧リストが掲載されていた。
釜鳴屋
坂本屋
宮川旅館
杉久保ハウス
スポーツホテル花屋
スピンネーカー
レイクサイドホテル
野尻湖マリーナ
藤屋旅館
ほとり荘
一番館
・・・などの名前が並んでいる。
パパはレイクサイドホテルを選んで電話を掛けた。
少し離れてそれを見ている私はもう凍えそうだ。
「・・・はい、そうなんです、ワカサギ釣りを・・・今からでもできますか?・・・実は今、もう野尻湖まで来ているんですが・・・」
この雪の中、ここまで来て釣りができなかったらどうしよう。
というか、普通、船って予約制なんじゃないの?
だいたい朝早く出るらしいし、こんな昼ごろになって当日釣りたいなんて酔狂な客がいることを向こうは想定していないんじゃなかろうか。
釣りができなかったら何しにここまで来たんだって話になっちゃうよね。笑うしかないか。