麻釜湯を出ると、麻釜に向けて少し蛇行した上り道が続いている。
この坂の雰囲気が良い。
車が行きかうには少し狭い石畳で、両側には白壁の温泉宿が軒を連ねている。
ぽつりぽつりと灯りの灯り始めた黄昏刻に、浴衣姿の客の姿が逍遥する。
奈良屋、日帰り入浴施設の温泉健康館のざわ、住吉屋など
野沢温泉では著名な宿や施設が並ぶこの坂をのぼりつめ、麻釜と御嶽神社の突き当りで左に折れ、更に道なりに坂を昇っていくと坂のてっぺん、真正面に
滝の湯が見えてきた。
昨日の
真湯や先ほどの麻釜湯と比較すると、同じ木造の湯小屋でも木の色が古びて飴いろに変わっている。
ここも戸をあけるとすぐに浴室があり、中の様子も外観同様どことなくレトロ感ある造りだ。
あちこちがはがれ継ぎ目が茶褐色に染まったピンクのタイル張りの内壁。
壁だけでなく床も角を丸めた長方形の浴槽の縁も底も全てタイルで、浴槽は特に細かな正方形のタイルが敷き詰められている。
湯口は野沢の外湯では珍しく岩風呂風になっており、その湯口の上に蛇口がついていて、水とミックスさせながら注げるようになっている。
何よりインパクトがあるのはお湯の色。
バスクリン入れたの? と思うような透明感のある蛍光緑色。
蛍光といってもライムグリーンではなくもっと深みのあるエメラルドグリーン。
しかも大量の湯の花。
昨日の真湯では黒い湯の花が少なくて少しさびしかったが、こちらは白と黒の湯の花がそりゃあもう沢山あった。
形は消しゴムかすの大きいのみたい。
白と黒と言うのがまた面白い。モノトーンのグラデーションなどではなく、完全に白いものと完全に黒いものが漂っている。絡み合って白黒のものもあるがどうしてこんな色になるのだろう。
臭いは他の外湯よりずっとはっきりしていて、茹で卵とマッチが混ざったような感じ。
ちょうど子連れの入浴客がいたので、お湯自体はとてもぬるまっていた。
安心して入れるが、ちょっと物足りないのも確か。
先ほどの麻釜湯と比べるとあまり温まらないタイプのお湯。
でも湯あがりは少しぺとぺとする。