◇◆野沢温泉&子連れスキー旅◆◇
スカイラインコースの地図が入った看板の前で大勢のスキーヤー・ボーダーが立ちすくんでいた。
みんなおそらく柄沢ゲレンデ方面に戻りたいのだろう。
しかし、我が家同様朝からメインゲレンデの方に移動してしまい、戻る道に悩んでいるのに違いない。
ポケットから詳細マップを出してしげしげと眺めている人もいる。
地図によるとスカイラインコースはひたすら尾根道を行くコースのようだ。
途中から上級者コースになるので、中級以下のスキーヤーは、二か所ある連絡コースのどちらかから左手に折れる道を取るようだ。
左に折れれば最後の半分は柄沢ゲレンデの幅広な初級者コースに合流できる。
誰かが「タヌキコースって書いてある所で曲がればいいんだな」とつぶやいた。
みんながみんな不安そうだった。
さっきまで薄日の差していた空は、その不安をあおるかのように粉雪を撒き散らしていた。
そう、いつの間にか天候は様変わりしていた。
気温もぐっと下がり、滑り始めると雪は目も開けられないほどで、ときおり顔にあたるあられは痛いぐらいだった。
スカイラインコースの入り口で、みんな地図を広げて悩んでいた
尾根を行くコースは不思議な感じだった。
両側が下がっていて、行く先だけがまっすぐ続いている。
日差しが無いと白い雪の上は遠近感が無くなり、なんだか滑っているのに下っているのか上っているのか分からないような気分だった。
途中の斜度はかなりきつく、中級者コースとは思えないほどだった。
後から思えば手前のカモシカコースで曲がって早めに初級者コースに出てしまえば良かったのかもしれないが、その時はとにかくタヌキコースで曲がれば柄沢ゲレンデに行かれるということしか考えていなかったし、ついていくのがやっとだった私はカモシカコースの曲がり角さえどこだか分らなかった。
一気に下まで降りるコースなのでひたすら長い。
一番に根を上げたのはカナだった。レンタルした靴がしめつけすぎていたようで、足が痛いと立ち止まることもしばしば。
どうやって下まで降りてきたのか思い出せないほど。
とにかく柄沢ゲレンデの初級者コースに入った時はみんな疲労困憊ボロボロになっていた。
柄沢ゲレンデは無人もいいところだった。
人の乗る部分を外してしまった動いていないリフトのロープが裏寂しい雰囲気を醸し出している。
左右にゆったりと広くだらだらとした緩斜面が続いていて、疲れ切った足をそろえたまま直滑降で滑った。
益々激しくばしばしとあられが頬にあたる。
みんなの頭を見ると雪が積もって真っ白だった。
ほんっとうにこのコースはきつかった。みんなで泣きたくなった。