壁につけられた縦書きの
十王堂の湯の文字が無ければ外湯だとは思わなかったに違いない。
ドアは以前の
真湯のようなレトロな金属製の物で、女湯は地階だが、男湯は女湯の二階にあるようだ。
隣にはもう一つスライド式のドアがあり、こちらは「洗濯湯 男湯は二階です」というプレートが貼られている。
戸をあけると、板があって直接は浴室が見えないような作りになっていた。
右か左に入るようになっていて、両方に脱衣棚が作られているようだ。
窓が小さいのか少し薄暗い作りで、浴室内は湯気が充満していた。
ここも先ほどの
横落の湯と同様混雑していた。
こちらは地元の方の方が多かったようだ。なんとなくみなさん手慣れていらっしゃる。
浴槽は青いタイルを敷き詰めた比較的大きなもので、やはりそれなりの量の水を混ぜて適温にしてあった。
お湯はほぼ無色透明ながらわずかに白濁している感じ。
ほんのりとマッチのような硫黄の臭いがする。
横落の湯がとにかくすべすべつるつるとした感触だったのに対し、こちらはお湯の中ではきしつくような手触りがあるのに少し乾いてくるとすべすべとする。
壁に貼られた注意書きも外湯ごとに異なるのか、十王堂の湯の場合、大声を出したり物を叩いたりしないようにという注意が一番に書かれている。
・・・普通の人はお風呂場で大声を出したり物を叩いたりとかしないと思う(水を出しっぱなしにするなとか、掛け湯せずに入るなとか、拭かずに脱衣所に上がるなとかは一般的な注意事項だが)。
過去、実際に何かしらのトラブルがあってこの注意事項が盛り込まれるようになったのかななどと推測してみる。
ちなみに今まで見た中で一番驚いた共同浴場の張り紙は、
安代温泉開花湯の「犬の入浴お断り」だ。
上がってみると、雪は益々激しくなっていた。
既に時刻は5時半を回っている。
急がないと宿の夕食に間に合わない。