私たちの部屋は2階の「のざわ菜」と名付けられた部屋だった。
十分な広さと清潔さ。
お茶うけに温泉まんじゅうが四つ準備されていた。
欠点を言えば床がぎしぎしというくらい。それもあえて言えばというくらいで、予算からすると十分満足できた。
トイレは廊下に出ないといけないけど、これまた新品のピカピカで有りがたい。
それにこの宿は料理が自慢だということで、こちらも夕食時が楽しみだ。
部屋に腰を落ちつける間もなく、もちろんすぐにでも外湯に行きたい。
先ほど受付で頂いた野沢温泉のタウンマップを見ながらペンで印をつけている私を見て、パパは「まぁたオタッキーなことしてる」とつぶやく。
その言い方やめてよ!
せっかく
野沢温泉に来たんだから外湯に行くでしょう、普通。
「一緒に行く?」
「一か所ぐらいならいいけど」
じゃ、決まりね。
子供たちに留守番を頼み、タオルを手下げに入れると私たちは出発した。
外は薄曇り。夕方の風は冷たい。手袋をしても指先が凍えそうだ。