◆◇奥日光湯元温泉◇◆雪と湯煙と苺の旅　2-1

1.ピンク色の壁にびっくり

　朝、目が覚めると自分が硫黄臭いことに気づいた。
　やっぱり日光湯元のお湯は強烈だ。
　パパも自分が硫黄臭いと言っていた。
　ゆで卵の腐った臭いなど既に超越している。もっと薬っぽい粉っぽい臭いだ。

　昨夜は子供たちと貸切風呂に入った後、夜寝る前には大人だけで大浴場の方にも行った。
　のんびり飲んでしまったので、もう夜中の12時を回っていた。
　パパは昼間も一度大浴場で入浴しているが、私は夜中が初めてだったので、脱衣所のドアを開けて面食らってしまった。
　なんじゃこの、ピンク色の巨大な浴室は・・・。
　いや、ホント、結構吃驚するぐらい大きな浴槽なのだが、何故か壁と天井一面が怪しげなピンク色に塗りたくられているのだ。
　それも何だか塗料の垂れたあとだかでこぼこした部分や析出物でごてごてした部分もそのまま上からピンク色を重ねてあるので、何だか湯気の充満した夜中の浴室は、ひとけも無くピンク色の鍾乳洞みたいで妙な雰囲気だった。
　(ちなみに湯気で気づかなかったが貸切風呂もピンク色で、なんと男湯大浴場もピンク色だった)

　朝は曇っていて、窓の外は白黒の世界だった。
　やがて少しずつ雲が薄くなり、薄日が射してきた。
　天気予報を見ようとテレビをつけたら、ちょうど男体山が映った。
　札幌の雪祭りは吹雪いているとアナウンサーが伝えた後、日光はマイナス10度まで冷え込んだが空は晴れ渡っていると結び、それから画面は箱根の芦ノ湖と富士山に移っていった。

　朝食は昨日と同じ大広間だった。
　子供たちは昨夜と同じで、自分たちの食べたいものだけ食べるとさっさと部屋に引っ込んでしまった。
　この方が大人はゆっくり食べられる。
　パパはご飯もお代わりしてがっちりと食べていた。