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子供と一緒に夏休み
**福島でLet's体験旅行**

9.納得のいかないやりとり











 確かに今夜も女湯は岩だった。
 昨日も今日も昼間は夕方4時ぐらいまで桧だったが、5時頃行くともう岩になっていた。そしてそのまま朝風呂も岩だ。
 だから桧に入ろうとすると、昼間明るいうちに行かなくてはならない。桧の方が好きだからちょっと癪だ。
 泊まり客が少ないからお風呂には誰もいないんじゃないかと思っていたが、洗い場に誰かいる。入浴客じゃなくて従業員らしい。
 うずくまってごそごそと何をしているのかと思えば、シャワーのところをいじっていた。
 おや、直しに来てくれたのかな?
 昨日も説明したが、岩風呂のシャワーは二つしかない。しかも一つは取っ手が取れていてお湯が出ず、もう一つは調節が利かないらしくお湯が出っぱなしだ。
 しかし従業員がいじっているのは、出ない方ではなくて出っぱなしの方だった。
 「何をしているんですか?」
 好奇心から聞いてみる。
 「今、お湯を止めたところです」
 「・・・?」
 えーと、こういう解釈でいいのかな。つまり宿泊客や日帰り客の多かった週末はもう終わったから、シャワーのお湯を出しっぱなしにすると勿体ないので止めた・・・と。
 ちょ、ちょっと待ってよ。
 それはそうだけど、止めたらシャワー、使えないじゃん。
 直したんなら問題ないけど、ただ、止めただけ?
 「そのシャワーしか使えなかったんですけど・・・」
 こっちは? という顔をして、従業員は隣の壊れたシャワーを指した。
 「それ、回すところが取れているでしょ」
 「・・・ああ」
 抑揚のない声で、従業員は取れた取っ手を取り付け始めた。
 取り付けるといっても、はめるだけ。根本的に直すというのとは違う。
 従業員が作業している間、思わず昨日の状況を説明してしまった。
 入浴客がいっぱいいるのにシャワーがひとつしか使えなかったこと。直せないならせめて宿泊客がみんな髪を洗いたがる夜は桧風呂を女湯にしてほしいこと。
 「はぁ、女の人はみんな夜、シャワーを使いますね」と、興味の無さそうな声で返答された。まるで状況を改善する気がないみたい。
 そして、不自由掛けて申し訳ないといった言葉もかけずにそそくさと出ていってしまった。
 この宿は部屋もロケーションも気に入って、仲居や受付も感じよく、本当のところまた泊まりたいという気持ちもあるんだけれど、このときのやりとりと、初日の塩素臭いお湯だけは納得いかない。

 彼女が行ってしまってから、直してもらったシャワーのお湯を出した。
 一応お湯は出る。
 但し、既に欠けている部品をはめ込んだだけだから、ちょっと力を加えればまたぽろっと取れてしまうだろう。
 私は知っているからそろりそろりと回したけれど、知らない人が普通の力を加えてシャワーを出そうとすれば一巻の終わりだ。
 全然解決になってない。
 なんだかなぁ・・・。

 露天風呂に移動すると塀の向こうから子どもたちの声がした。
 塀の下に手が差し込めるぐらいの隙間がある。
 「ここだよ」
 カナの手が出てきた。





 部屋に戻ってさっきの顛末をパパにかくかくしかじかと報告すると、「俺を一晩タダで止めてくれるなら、すぐにでもホームセンターに行って部品を買ってきて、ちゃっちゃと直してやるのになぁ」と言われた。
 (注 別にパパはそういう仕事をしている専門家でもなんでもありません)
 「だいたいお湯を出しっぱなしにするくらいなら、修理した方がよっぽど安く付くよ」
 うん、まったくだ。
 修理しようっていう観念がないのかな。
 ちょっと残念なことだ。



3-1ママのお風呂タイムは気ぜわしいへ続く


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