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那須の紅葉旅
18.犬吠ゆる
というわけで、とりあえず
喜楽旅館
へ向かうことにした。
雲海閣
を出るときに、受付をしてくれた従業員のおばさんが街道まで出る道を教えてくれて、野菜でも買い出しに行くの?と聞いてきた。
「いえ、ちょっと散歩しに」
雨はやんでいたが、またいつ降るともしれないので念のため傘を持った。
喜楽旅館は何度か那須街道を行き来するうちに看板を見つけていた。
雲海閣から行くと、湯本温泉の外れ、那須街道沿いの郵便局前を過ぎて川を渡った所を細い道に入るらしい。
那須街道から雲海閣を見上げてみた。
正面の建物が雲海閣。右手から逆L字型に折れて、下へと通路が続いている。
雲海閣の左側に見えるこんもりとした建物は、きのこのお宿高原荘。
これが雲海閣の硫黄泉浴室へ降りる通路の外側。
あの長い長い木の階段廊下は外から見るとこんな風になっている。
車で通っているときには距離が有りそうに見えたが、実際は10分ぐらいか。
通りがかった那須ショッピングセンターは既に行列もはけて静かになっていた。
郵便局を過ぎて、橋を渡る・・・ああ、あったあった、老松温泉喜楽旅館の看板だ。
と、いきなり、角の家の門から、突然三匹の犬が吠えながら飛び出してきた。
中型犬サイズ。
飛びかかられたら無傷ではすまない大きさ。
当然繋いであるものと思った。
このサイズの犬が放し飼いになっているなんて想像だにしなかった。
犬たちは明らかに敵意を剥き出しにして目の前まで迫ってきた。
「きゃー」
思わず反射的に大きな悲鳴を上げた。
見ると犬たちが出てきた門の向こうに、開け放たれた家のドアが見える。
当然家人が後を追って飛び出してくるものと思った。
・・・誰も出てこない。
次の瞬間、猛烈に腹が立った。
犬をけしかけられたと思ったのだ。
何を考えてるんだろう。
訴えてやろうかしら。
かなり離れても、まだ犬たちは歯をむき出してこちらをにらみつけていた。
もう本当に腹立たしい。
なんで公道を歩いているだけで脅されなきゃいけないの?
それから何だか惨めな気持ちになってきた。
犬に追われるなんて泥棒扱いされたみたい。
川沿いの細い道は、例の喜楽旅館に続いているだけなのかと思っていたが、しばらく民家が続いていた。民宿も一軒ある。
右手にある民家からも犬が何匹か吠え立てた。
こちらは囲いの中にいるから出てはこないが、やはり敵愾心を燃やしているようだ。
今まで犬が嫌いだなんて思ったことがなかったが、この道を歩いていたら心底嫌になった。
子供たちを一緒に連れてこないで良かった。
この先に旅館があるのだから、この道は犬たちにとって見知らぬ怪しい人がひっきりなしに通るはずだ。
車で来る人はいいだろうけど、歩いてくる人はみんな嫌な気持ちになるに違いない。
雨にぬれたキバナコスモス
1-19.思わずぎゃーっと叫びたくなる温泉
へ続く
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