◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記
26.奈良にまたいつか
全身洗って、髪も洗ってすっきりさっぱり。夜行バスで帰る準備は整った。
10時ちょっと前に行きに乗ったタクシーで受け取ったレシートから送迎を頼む電話をして、
ゆららの湯を出たのは10時2分。
タクシーは10分と掛からずJR奈良駅に着いて、奈良駅の駅舎の1階にあるマックスバリュで飲み物のペットボトルなど購入して、で、後は帰るだけ。
行きの新宿駅と違ってJR奈良駅の高速バス乗り場はシンプルで迷いようが無いし、ほぼ時刻通りにバスは来た。並んでいたのは数人程度。
行きのバスは東京富士交通のナイトライナーだったが、帰りのバスは奈良交通と関東バスの新宿-奈良・五條線だ。単純に両方、使った代理店経由でその日程で一番安かったから選んだ。
ナイトライナーと違って同じ三列シートでも列を仕切るメッシュカーテンは無い。ミネラルウォーターのペットボトルも。あとはほぼ同じ。座席の感じはこっちの方が新しい気がした。
JR奈良駅を出たらすぐに近鉄奈良駅に停まり、こちらでは大勢乗り込んでほぼ満席に近くなった。
近鉄奈良駅のバスの担当者と運転手の話し声が耳に入る。どうもJR奈良駅で乗車しなかった客が一人いるらしい。
それを聞いて行きの顛末を思い出す。
私たちも間に合わなかったらこんな風に置いて行かれちゃったんだろう。
何だかもうバス乗り場を探して走り回った4日前のことが随分前のようだ。
バスの中で寝て、目が覚めたら新宿だ。
今回の奈良旅行は行くつもりで行ききれなかったところが多かった。
法隆寺や薬師寺の有名どころはもちろん、山の辺の道は大神神社周辺しか行かれなかったし、レンタサイクルで回った飛鳥は予定の半分しか回ってない。
平城宮跡だって駆け足で、何より吉野山。時間が足りないのと雨が降ってきたのとで本当に入口しか見ていない。
京都が人工的な都だとしたら、奈良はどこか天然のパワースポットのような気がする。
大地の持つ力とか、神々の加護とか、そんなものがそこここに残っているような気がする。
奈良にはまた来なきゃいけないような気がする。
心残りが次の旅の始まりだとすれば、奈良には残してきた気持ちが多すぎる。
おしまい