3.長谷寺の朝の勤行
登廊は繋屋、蔵王堂と二度ほど途中で折れ、斜面を登って鐘楼に出た。
静かな石段を登りながらここは人の生きる現世から少しずつ天上に近づいているような回廊だと思った。
後ろを振り返ると先ほどのカップルがまた戻ってきていた。
鐘楼近くまで来るとかなり高いところまで登っていたことがわかる。そんなにたくさんの石段を昇った気はしないのだが。
途中の蔵王堂で見上げる位置にあった本堂は、鐘楼まで登るとすぐ横にあった。
本堂の一角に受付があり勤行の見学料を払う。
若そうな僧侶がこちらへと履物を脱ぐ下足箱へ案内し、そこから本堂に上がった。