子連れ旅行温泉日記の目次子連れ温泉ガイド地熱愛好会 > 子連れ旅行温泉日記 > 桜の古都巡り*奈良観光旅行記 > 3-1長谷寺へ向かう

◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記

1.長谷寺へ向かう






 それはそれは息をのむような眺め。
 まるで清水の舞台を少し小さくしたような本堂を背にした舞台からは、日が昇ったばかりの朝の凛と澄んだ大気に薄紅色の炎のように咲き誇る桜、谷あいの家々、背後の初瀬山、本長谷寺と五重塔などぐるりと辺りを見回して。

 昨日、ならまちの工房とんぼ玉空歩でこれから天気は下り坂なんて聞いたのに、今いる長谷寺の空は雲一つない怖いくらいの青さで、それを独り占めしている自分が信じられない。

 旅での思いがけない景色との出会いは、花期、天候、時間帯、神の采配のままに。






三日目 2014年4月3日(木)


 目覚ましは5時15分にかけた。
 随分と深く眠っていた気がする。寝ぼけ眼でカーテンを開けると、窓の外はまだ日が昇っていない薄明。
 身支度を整えて長谷寺に行く準備をしないと。
 泊まっている長谷寺温泉 湯元井谷屋から長谷寺までは歩いて5~10分程度だと思われる。

 最後まで寝ていたレナを起こし、井谷屋を出たのは6時10分ちょっと前。
 ちょうど出る前に若主人が玄関に出てきたので念のため確認した。
 「朝の勤行の見学は予約などしなくても大丈夫なんですね? 行って受付などすぐにわかりますか?」
 「あー、石段を昇っていくと入り口にこう入れないように塞いであるように見えますけど、隙間が開いていて入れますから。で、隙間から入ってさらに登っていくと受付があるのでそちらで見学したい旨伝えて500円払えば大丈夫ですよ」
 あっ、聞いてよかった。
 入り口が閉まっているように見えたら現地で悩んでいたに違いない。


早朝の井谷屋前



 昨夜の暗い中、駅から歩いた時と異なり、井谷屋から長谷寺まではほぼ一本道に近いし、日は昇っていないが既に辺りはかなり明るくなっている。
 私たちが歩き出してすぐ、後ろを振り返ると井谷屋から一組のカップルが出てきて、やはり私たちと同じ方角に歩き出した。おそらく目的地も同じだろう。

 参道は民家や店舗が両側に並ぶ中にぽつぽつと寺社がある通りだが、民家の多くも長い年月を経た木造建築が多く雰囲気がある。店はまだどこもシャッターを下ろしていて、私たちと後ろを歩くカップルの他は通りにはまったくひと気が無い。
 ところどころで立ち止まって写真を撮っている私たちは、しばらくすると後ろを歩いていたカップルに追い越されていた。


街角の風景。右は「初瀬上の森小水力発電実証試験設備」って書いてあった。



 途中で右手に立派な桜の木があるなと思ったらそこは法起院の門だった。
 法起院と言うのは長谷寺の塔頭で、塔頭と言うのは大きな寺の弟子による分院のような寺院のことだが、奈良のガイドブックの長谷寺の頁には近隣の見どころとして長谷寺の他はこの法起院を記載しているものが多い。
 昨日の夕方にこの辺りを回る予定にしていた時は、法起院も拝観するつもりだったが、長谷寺の勤行見学に行く今の時間帯ではもちろん法起院は閉まっている。

 法起院を過ぎるとすぐに突き当りで道は左に折れている。
 突き当りというのは正しくはなく、正面は急な石段と朱塗りの鳥居で與喜 天満神社と書かれた看板が立っている。
 しかし今は長谷寺へ向かうので道なりに左に進む。
 この道の先には長谷寺が見えていた。
 道幅は広くは無く、正面の隙間に寺の建物らしい瓦屋根が見える。そしてその後ろには小高い山があった。初瀬山だ。


井谷屋から真っ直ぐ進んだ道。正面の鳥居は天満神社。右手に法起院。

天満神社の角を左に曲がった道。正面に長谷寺。だんだん近づいてくる。



3-2仁王門から登廊へへ続く


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