◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記

15.花粉カットグラスを探して

　天極堂を出て15分ぐらい歩いたら近鉄奈良駅前に出た。
　奈良県庁の前を過ぎて駅が近づくと広いメインストリートの両側は大勢の観光客で賑わっていた。
　デパートのようなビルも見えたが、どうもそれが近鉄奈良駅の駅ビルのようだった。あそこに安売りメガネ屋が入っていれば苦労もしないのに。

　駅ビルの斜め向かいのセブンイレブン前に立ってスマホで検索した普通のメガネ屋を探す。どうもセブンイレブンの近くにあるらしいのだが見つからない。
　ちょうどメインストリートを挟んだ向かいに東向き商店街というアーケードが見えたので、そちらに進んでみることにした。大きな商店街ならメガネ屋ぐらいありそうだ。

　東向き商店街は本当に普通の商店街だった。
　アーチ状の屋根が付いていて天候不問で買い物OKの仕様。八百屋、本屋、喫茶店などどこにでもある個人商店が軒を連ねている中に、時々観光客向けらしいお菓子屋や土産物屋がまぎれている。
　これならメガネ屋も一軒ぐらいあるだろうと歩いていたらすぐに見つかった。
　普通の小ぢんまりとしたメガネ屋だったので、あまり安いのは無いかもと心配しながら店に入ったが、店のおじさんに花粉対策用のメガネを探していると伝えると、この先にドラッグストアがあるからそっちの方がいいんじゃない？と教えてくれた。
　なんだやっぱり薬屋で売ってるんだ。

　教えられたとおり商店街をさらに先へ進むとセイムスという大きなチェーンらしいドラッグストアが見つかった。
　売り場はかなり広かったのでレジの店員が手の空いたところで聞く。
　こちらですよと案内されたスペースには、3千円弱の花粉カットグラスが売っていた。デザインは3種類ぐらい。それぞれにフレームの色が3種類ぐらいずつ。ただサイズはフリーみたいでワンサイズしかない。本人に選ばせてカジュアルタイプの黒フレームを購入した。

　この花粉カットグラスは姉の花粉カットコーティングされた近視用メガネと違い、スキーのゴーグルのようにサイドもフェイスラインに沿ってカバーされている。とにかく物理的に花粉を目の周囲に近づけない形となっている。
　早速装着。
　「どう？　目、開けられる？」
　「うん」
　よーかったーっ。これで旅が続けられる。
　もう見た目なんか気にしていられるレベルの辛さじゃなかったらしく、レナは本当に安堵した表情だった。

　さてこれからどうするかと思って現在地を地図で確認したところ、それまで気付いていなかったことに気付いた。

　あれ？　この場所って・・・ならまちに近くない？