◆◇桜の古都巡り◇◆
奈良観光旅行記
広い道幅があるにも関わらず頭上の木の枝で緑のトンネルのようになっている参道は前方に真っ直ぐ伸びていて、人影はまばら。とにかく鹿ばかり。
ところどころに統一感に欠ける石の灯篭。
苔むした石と樹木の緑だけの色彩の少ない荘厳な道。
やがて春日荷茶屋のところで小さな朱塗りの社が見えて道がゆるく右にカーブした。
灯篭の数がぐっと増え、正面に鳥居が一つ見えてきた。二ノ鳥居だ。
もうこの辺りで三人とも空腹は限界を迎えていた。
しかし食べるところはまったく見当たらない。
店が全然ないわけではない。参道に曲がる手前にも、参道の途中にも、この二ノ鳥居周辺にも茶屋はある。まだ朝早いので開いていないだけだ。
二ノ鳥居左手には祓戸神社があるがそのまま進み、鳥居を潜って石段を上ると春日大社の本殿に至る。ここは春日大社の南門にあたる。
それほど大きくは無いが茅葺屋根に朱塗りの柱の南門を見ると、門の右側に立派な枝垂桜が揺れているのが見えた。
一番最初の観光に春日大社を選んだのは、単純に開門が早かったからなのだが、桜を見る旅にしたいと思っていたので、思いがけないところで桜の花に出会えると嬉しい。
ちょうど韓国人らしい若い男性グループも後ろからやってきて、それぞれ手にした一眼レフで桜を撮っていた。